(2017年2月) "Physiological Genomics" 誌に掲載されたベイラー医科大学などによる研究で、高血圧マウスの腸内細菌を移植したマウスで血圧が上がるが、逆に血圧が普通のマウスの腸内細菌を高血圧マウスに移植しても血圧は下がらないという結果になりました。
実験の方法
高血圧のマウスのグループと血圧が正常なマウスのグループを用意し、両方のグループの腸内から生体物質(腸内細菌)を採取したのち、抗生物質を10日間にわたり投与して両グループのマウスの腸内細菌を壊滅状態に追い込みました。
そうしておいてから、高血圧のマウスから採取した生体物質を血圧が正常なマウスのグループの一部に、そして血圧が正常なマウスから採取した生体物質を高血圧のマウスのグループの一部に移植しました。
結果
高血圧マウスの生体物質を移植されたマウス(血圧が正常なマウス)は血圧が高くなりました。(*)
(*) もともとの血圧が正常で高血圧マウスの腸内細菌を移植されなかったグループでは収縮期血圧が156mmHGだったのに対して、もともとの血圧が正常で高血圧マウスの腸内細菌を移植されたグループでは182mmHG。
その一方で、高血圧のマウスに血圧が正常だったマウスの生体物質を移植しても、意外なことに(統計学的に有意と言えるほどには)血圧が下がりませんでした。
血圧が上がったマウスの腸内細菌の変化
もともとは血圧が正常だったのに高血圧マウスの生体物質を移植されて血圧が上がったマウスは、もともとは血圧が正常で高血圧マウスの生体物質を移植されなかったマウスに比べて、ファーミキューテス菌:バクテロイデス菌の比率が高くなっていました。