安静時代謝率には腸内細菌が影響している

(2015年12月) "eBiomedicine" 誌に掲載されたアイオワ大学の研究によると、安静時代謝率(安静時に呼吸や心臓の鼓動などにより消費されるカロリー)に腸内細菌が関与していると思われます。 マウス実験で薬物により腸内細菌叢を変化させたところ、安静時代謝率が低下して肥満したのです。

経緯

この研究者の以前の研究で、統合失調症・自閉症・双極性障害(躁うつ病)などの治療に用いられるリスペリドンという薬を長期間にわたり服用する患者は腸内細菌叢が変化して肥満することが示されました。

今回の研究

そこで今回、マウスにリスペリドンを投与してリスペリドンを投与しなかったマウスと比較したところ、リスペリドンの投与によって腸内細菌の構成に変化が生じ、2ヶ月間で体重が10%増加しました。

そして、この研究者が新たに開発した総熱量測定器(*)という機器により、体重の増加がひとえに安静時代謝率の低下によるものであることが示されました。 リスペリドンを投与したマウスでは有酸素安静時代謝率に変化はなかったものの、非酸素安静時代謝率が体重増加幅に見合う程度に低下していたのです。
(*) 総熱量測定器(total calorimetry machine)は、エネルギー摂取量・酸素消費量・二酸化炭素排出量・熱生産量から一匹のマウスの総エネルギー変化率(total energy change)を割り出すことができます。
どれだけ太るのか?

リスペリドンによる安静時代謝率の増加は約16%でした。 この16%の増加というのはチーズバーガーを毎日1個余分に食べるのに相当するエネルギーで、平均的なヒトに当てはめると毎年13キロずつ体重が増えてゆくということになります。

確認

リスペリドンの投与により太ったマウスの腸内細菌を移植されたマウスでも安静時代謝率が低下して太ったことから、リスペリドンの投与による体重増加は腸内細菌叢の変化によるものだと思われます。

バクテリオファージだけでも
腸内細菌のバクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)だけを移植したマウスでも、安静時代謝率が低下して体重が増えました。