腸内細菌の多様性を維持するには狩猟採集生活を!

(2014年4月) "Nature Communications" に掲載された Max Planck Institute(ドイツ)の研究により、現代においてなお狩猟採集の生活をしている人々のほうが先進国の住民よりも腸内細菌が多様であることが明らかになりました。

この研究で、タンザニアのサバンナに住む狩猟採集の部族であるハヅァ(Hadza)族の腸内細菌叢をイタリア人のものと比較したところ、ハヅァ族の腸内細菌叢は、これまでに知られているどのような細菌叢にも無い特徴があるうえに、腸内細菌の種類が豊富だったのです。

ハヅァ族の腸内細菌叢の特徴
ハヅァ族の腸内細菌叢は、人体には消化できない植物繊維を処理するのに適した構成となっていました。 繊維の多い食品から多くのエネルギーを取り出せるようになっているのだと考えられます。(人体では消化できない食物繊維を代謝してエネルギーに換える腸内細菌が多く住んでいるということでしょうか)

さらに、ハヅァ族は先進国の住民と違って、男女で腸内細菌の構成が僅かに異なっていました。 ハヅァ族において男女は基本的に同じものを食べていますが、男性の仕事が狩猟とハチミツである一方で、女性の仕事はイモ類などの植物を採集であり、それぞれが仕事の対象とする食品の摂取量が僅かに多いのが理由だと思われます。(作業地で入手した食物を昼食として食べるのでしょう)

また、ハヅァ族の腸内は、西洋人においては病気の兆候とされるトレポネーマ属の菌(梅毒などの菌)が多く、善玉と言われているビフィズス菌などの菌が比較的少ない状態でした。 それにも関わらず、ハヅァ族の人たちの間に腸内細菌バランスの乱れに起因する自己免疫疾患はほとんど見られませんでした。

善玉/悪玉の区分よりも多様性
このことから研究チームは、既存の「善玉菌」と「悪玉菌」という区分が先進国の生活環境に依存する区分であるに過ぎず、腸内細菌の遺伝子的多様性こそが腸内細菌叢の健康と安定のために最も重要であるとしています。
腸内細菌と肥満の関係においては食事内容も無視できない」によると、腸内細菌の多様性は果物や野菜など繊維質の多い食品を食べることで増やせます。