食生活と腸内細菌と腸管透過性の関係

(2018年7月) グラーツ医科大学(オーストリア)の研究グループが食生活と腸内細菌の種類構成と腸管透過性(gut permeability)の関係を調べた結果が "European Journal of Nutrition" に掲載されています。

腸管透過性が増大すると、腸内に存在する細菌由来の毒素や病原体などの有害物質が腸壁を通過して血流内に侵入し、全身的に炎症が生じる原因となります。

研究の方法

体重や運動習慣などが様々に異なる女性102人(拒食症の患者やスポーツ選手も含まれる。 BMIの範囲は13.2~46.9kg/m)を対象に以下を調べました:
  1. 腸内細菌の種類構成
  2. ゾヌリンの血中濃度(腸管透過性の程度)
  3. 食生活

そして、ゾヌリン血中濃度が53.6ng/mlよりも高いか低いかでデータを2つのグループに分けて、グループ間で腸内細菌の種類構成を比較しました。

結果

ゾヌリン血中濃度が低いグループはルミノコッカス科の腸内細菌(Ruminococcaceae)やファイカリバクテリウム属の腸内細菌(Faecalibacterium)が多いという関係が見られました。 腸内細菌の多様性とゾヌリン血中濃度とのあいだには関係が見られませんでした。
ルミノコッカス科の細菌もファイカリバクテリウム属の細菌も、ファーミキューテス門クロストリジウム綱クロストリジウム目に分類される。 生物学分類上の「門・綱・目」のレベルまで共通で、「科」のレベルから異なる。 「科」の下位カテゴリーが「属」。

食生活

ゾヌリン血中濃度が高いグループと低いグループとで食事量(重量g)や食物繊維の摂取量は同程度でした(統計学的に有意な差がなかった)が、ゾヌリン血中濃度が高いグループは低いグループに比べて、カロリー・たんぱく質・脂質・糖質・ナトリウム・ビタミンB12の摂取量が多くなっていました。

ただ、ゾヌリン血中濃度に応じてデータを3つのグループに分けて比較すると、グループ間で食生活に差が見られませんでした。

まとめ

ルミノコッカス科やファイカリバクテリウム属の腸内細菌が腸管透過性の維持役立つ可能性があります。

ルミノコッカス科の腸内細菌は糖質を好んでエサとし、糖質摂取量が多い人の腸内に多く生息します。 今回の研究で糖質摂取量が少ない(ゾヌリン血中濃度が低い)グループでルミノコッカス科の腸内細菌が比較的多かったのは謎です。