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腸内に住む細菌の種類構成が気分や脳領域のサイズに影響?

(2017年6月) これまでにマウスを用いた研究で腸内細菌が行動・感情・気分に影響する可能性が示されていますが、"Psychosomatic Medicine: Journal of Behavioral Medicine" に掲載されたカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、ヒトにおいても腸内細菌の種類構成と脳領域のサイズや気質とのあいだに何らかの関係があるようです。

研究の方法

40人の女性を対象に、糞便サンプルを用いて腸内細菌の種類構成を調べたり、MRIで脳を検査したりしました。

結果

40人のうち33人では、バクテロイデス属の細菌が腸内に多く生息していました。 残りの7人ではプレボテラ属の細菌が腸内に多く生息していました。

両グループで脳の構造や働きを比較したところ、以下が明らかになりました:
  • バクテロイデス菌が多かったグループのほうが、前頭皮質と島葉(*)における灰白質の厚みと海馬(†)の容積が大きかった。
  • プレボテラ菌が多かったグループのほうが感情・注意力・感覚に関わる各脳領域のあいだの接続が多く、海馬など複数の脳領域の容積が小さかった。 さらに、ネガティブな(不快な)画像を見たときに、海馬の働きが弱く、不安感・苦悩・イライラを強く感じた。

(*) 情報の複雑な処理に関与する脳領域。

(†) 記憶や思考に関与する脳領域。

今回の結果から、ヒトにおいても腸内細菌と脳のあいだに何らかの関係が存在するのだと考えられます。 ただし、脳の構造が腸内細菌の種類構成に影響しているのか、あるいは逆に腸内細菌の種類構成が脳の構造や働きに影響しているのか(はたまた両者が相互に影響し合っているのか)は不明です。

プレボテラ菌は悪玉菌ではない

今回の研究ではプレボテラ菌が脳の構造や感情の制御にとってマイナスであるかのような結果でしたが、腸内細菌としてのプレボテラ菌は必ずしも悪玉菌だというわけではありません。
  • 2011年に"Science" 誌に掲載された研究(リンク先は英文)によると、肉や動物性脂肪の摂取量を増やすとバクテロイデス菌が増え、炭水化物(特に食物繊維)の摂取量を増やすとバクテロイデス菌が減ってプレボテラ菌が増えます。 つまり、健康的な食生活をしていればプレボテラ菌が増えるのだと言えるでしょう。
  • "Cell Metabolism" 誌に掲載された研究では、腸内に住むプレボテラ菌に食物繊維をエサとして与えると血糖値が下がったという結果になっています。 ただし、普段から食物繊維を摂取して腸内でプレボテラ菌を増やしておかないとダメなようです。
  • 米国のメイヨー・クリニックの研究ではマウス実験により、プレボテラ菌がリウマチの軽減に有効であることが示されています。
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