腸の炎症がインスリン抵抗性を助長? 治療薬流用の可能性も

(2015年4月) "Cell Metabolism" 誌に掲載された Toronto General Research Institute などの研究によると、2型糖尿病の発症に腸が関与している可能性があります。 (出典: Gut Immune System Identified as a New and Effective Target in Treating Diabetes

高脂肪食 ⇒ 腸 ⇒ インスリン抵抗性

この研究で、マウスに高脂肪・高カロリーのエサを与えたところ、普通のエサを与えたマウスに比べて(腸における)炎症誘発性の免疫細胞の量が多く、その一方で炎症応答を抑制する細胞の量が少なくなりました(その結果、低度の慢性炎症が起こる)。 14人のヒト(このうち7人が肥満者)を被験者として行った試験でも同じ結果となりました。

高脂肪食によって腸の免疫細胞に炎症性の変化が生じて免疫系のバランスが崩れ、それが引き金となる化学的な一連のプロセスによって腸壁がダメージを受けて、腸内細菌の生産物が血流中に流出します。 そして、その流出こそがインスリン抵抗性(細胞がインスリンを上手く利用できないために血糖値が上がる)を助長していたのです。

炎症性腸疾患の治療薬でマウスのインスリン抵抗性が改善

そこで研究チームは、腸の慢性炎症に対処することでインスリン抵抗性が生じる上記のプロセスを最初の段階でストップできるのではないかと考え、メサラミンという炎症性腸疾患(IBD)の治療薬を用いてマウスの腸の炎症を治してみました。 すると、マウスのインスリン抵抗性が好転し、血糖値もほぼ正常な水準にまで下がりました。

研究者は次のように述べています:
「マウス実験では、IBDの治療薬を用いて2型糖尿病の発症を防ぐことが出来ました。 ヒトでも同じ効果が得られるならば、糖尿病の予防および治療の方法は大きく変わることになります」
研究者によると、腸をターゲットとする薬の中には腸だけに局所的に作用するものもあり、そういう薬を使えば副作用も最小限に抑えられます。