昔ながらの狩猟採集で暮らすアフリカの部族は、身体活動量が現代人の14倍で健康状態も良好

(2016年10月) "American Journal of Human Biology" に掲載されたアリゾナ大学などの研究によると、狩猟採集をして暮らしていた時代の人類は身体活動量が現代人よりも遥かに多くて、それゆえに健康的だったのかもしれません。

人類と運動

ウィキペディアによると、人類は新石器時代(紀元前 8,500年頃)までは狩猟採集をして暮らしていました。 人類が誕生したのは約400万年前ですから、ヒトが身体活動量が少ない現代型の生活に移行してからの時間に比べて、狩猟採集をして暮らしていた時間のほうが圧倒的に長いわけです。

したがって人体にとっては、現代的な生活をしていて生じる身体活動量よりも、狩猟採集をして暮らしていた頃の身体活動量のほうが適しているのではないかと考えられます。

研究チームによると、ヒトが健康であるために意図的に運動を行う必要があるのは、現代的な生活における身体活動量と狩猟採集時代の身体活動量との間にギャップがある(そして、そのギャップに人体が未だ適応していない)ためである可能性があります。
同じような発想に基づくものに、パレオ・ダイエットと呼ばれる食事法があります。
研究の方法

大規模な研究の一環として、タンザニアのサバンナに住み狩猟採集の生活を送っているハヅァ(Hadza)族のメンバー46人に携帯型の心拍系を装着してもらって中~高レベルの身体活動(MVPA)の量を測定しました。

大規模な研究のほうでは(*)、ハヅァ族の血圧や心臓・血管の健康状態のバイオマーカー(†)を測定しました(血圧は198人、バイオマーカーは23人で測定)。

(*) つまりたぶん、身体活動量を測定した46人とは別の人たちで。

(†) C反応性タンパク質(CRP)の血中濃度・コレステロール値・中性脂肪値。 CRPは炎症の指標で、心臓病以外にも脳卒中・高血圧・2型糖尿病など様々な疾患の目安となります。
結果

ハヅァ族は起きている時間の大部分を身体を動かして過ごしており、ハヅァ族のMVPA(軽度の身体活動は含まない)は1日あたり平均135分(2時間15分)というものでした。 先進国で推奨されている身体活動量は1週間あたり150分というものですが、ハヅァ族の身体活動量を1週間あたりに換算すると945分になります。

しかも、150分/週という身体活動量は目標値であって先進国の平均的な国民は150分/週の身体活動すらしていないのが現状なので、945分/週というハヅァ族の運動量は、米国人の実際の運動量の14倍超にもなります。
腸内細菌の多様性を維持するには狩猟採集生活を!」 によると、ハヅァ族の男性の仕事は狩猟で、女性の仕事はイモ類などの採集です。
ハヅァ族の健康状態
身体活動量が十分であるためでしょうか、ハヅァ族は高齢者にも高血圧の人が少なく、心臓・血管のバイオマーカーも理想的な数値でした。