潜んでいる高血圧や糖尿病を握力で判定できる可能性

(2015年7月) "American Journal of Preventive Medicine" に掲載されたフロリダ大学の研究によると、高血圧や2型糖尿病が潜んでいるかどうかを握力で判定できるかもしれません。

「痩せの肥満」の人に特に有益

この判定方法は特に「痩せの肥満(skinny fat)」と呼ばれBMIは正常であるけれども筋肉が少なく体脂肪率が高い(男性では25%超、女性では35%超)という人で有効です。

こういうタイプの人はメタボリック・シンドロームのリスクが通常の4倍に増加するにも関わらず、BMIを基準にすると肥満ではないために糖尿病や高血圧の定期検診を受けないことが少なくありません。 米国では3千万人が痩せの肥満で、多くの人はその自覚がありません。

研究の方法
BMIが正常範囲(18.5~25未満)にあり心血管疾患(心臓病や脳卒中)の病歴が無い20才以上の米国人 1,467人を対象に、握力の検査を行い糖尿病および高血圧の有無を調べました。
握力の検査には竹井機器工業(新潟県)のデジタル握力計(T.K.K.5401)が用いられました。
結果

高血圧や糖尿病があるグループでは、それが診断済みであるか未診断(本人が無自覚)であるかに関わらず、高血圧でも糖尿病でもないグループに比べて握力が弱い傾向にありました(下記の握力はいずれも右手と左手の合計):

糖尿病
  • 糖尿病ではないグループの握力は平均69.8kgだった。
  • 未診断の糖尿病が潜んでいたグループの握力は平均51.9kgだった。
  • 糖尿病と診断済みであったグループの握力は平均で61.7kgだった。
高血圧
  • 高血圧ではないグループの握力は平均71.5kgだった。
  • 未診断の高血圧が潜んでいたグループの握力は平均63.5kgだった。
  • 高血圧と診断済みであったグループの握力は平均で60.8kgだった。

年齢・性別・人種・喫煙習慣・家族歴といった要因を考慮しても、未診断または診断済みの高血圧や糖尿病を抱えている人の方が健常者よりも握力が弱いという関係は消滅しませんでした。

考えられる理由
普通体重の人が高血圧や糖尿病を抱えている場合に筋力が落ちる理由は明確にはわかりませんが、筋肉が不十分であるから、あるいは糖尿病性手症候群と呼ばれる症状のために指の動きが制限されるからかもしれません。
過去の研究に、握力を鍛えるのが血圧低下に有効だという結果になったものがあります。
留意点
実際の診療において握力を高血圧・糖尿病の判定に用いるには、今回の研究だけではデータ不足です。