(2018年5月) "Journal of the American Heart Association" に掲載されたメタ分析(システマティック・レビュー)で、HbA1c値(過去1~2ヶ月間という比較的長期的な血糖値が反映される)が高い人は脳卒中になりやすいという結果になりました。
研究の方法
18才以上の糖尿病(1型または2型)患者あるいは非患者を対象にHbA1c値と脳卒中のリスクとの関係を調べた29の研究(2017年3月頃までに発表されたコホート研究またはコホート内ケース・コントロール研究)のデータを分析しました。 データに含まれる人数は53万人超でした。
結果
HbA1c値が糖尿病とみなされる範囲(6.5%以上)である場合にはHbA1c値が正常な範囲(5.7%未満)である場合に比べて、初めて脳卒中になるリスクが2.15倍(+115%)でした。
HbA1c値が糖尿病予備軍とみなされる範囲内(5.7~6.5%)にある場合には脳卒中のリスクは増えていませんでした。
糖尿病の有無
糖尿病患者のデータに限るとHbA1c値が1%上がるごとに初めて脳卒中になるリスクが17%増えていましたが、非患者(糖尿病ではない人)のデータに限るとHbA1c値と脳卒中になるリスクとの間に関係が見られませんでした。
ただし、虚血性脳卒中(脳卒中全体の85%を占める)に限ると非患者のほうがHbA1c値の増加に伴う発症リスク増加幅が大きく、HbA1c値1%上昇あたりの虚血性脳卒中の初回発症リスク増加幅が、糖尿病患者では24%だったのに対して非患者では49%でした。