善玉コレステロールに血糖値を下げる作用

(2013年11月) "Circulation" 誌に掲載された研究によると、HDL(善玉)コレステロールに血糖値を改善する作用があります。 HDL コレステロールによって骨格筋(心臓や内臓の筋肉に対して骨に付く筋肉)の機能が強化されて、体脂肪が減少するというのです。

研究の概要

今回の研究では、骨格筋がエネルギーを消費し、筋力を発揮するには血中の HDL の量が正常でなくてはならないことが解明されました。

研究グループはまず、ApoA-I が存在しない場合には、骨格筋におけるカロリーの燃焼量が落ちるために、血糖値が増加し、さらに筋力が低下することを確認しました。

次に、HDL および、その主要成分である ApoA-I によって、筋肉細胞内のブドウ糖とカロリーの消費量が増加していることを確認しました:
  • 動物実験において HDL と ApoA-I の量を増やしたところ、①高血糖症と、②筋力の低下や体脂肪量の増加などの加齢の兆候を防ぐことができました。
  • "Fibroblast Growth Factor 21" の血中量が顕著に減少したことからも、(HDL と ApoA-I の量を増やした動物において)ミトコンドリア(細胞の「発電所」にあたる)におけるカロリー燃焼量が増加すると考えられます。 "Fibroblast Growth Factor 21" とは、ミトコンドリア機能不全の生体指標です。
つまり、HDL によって筋肉がブドウ糖と脂肪を消費できるようになり、これによって筋力が維持されるし、血糖値と血中脂肪が低く保たれるということでしょうか。
解説

2型糖尿病患者において HDL および HDL の主要成分であるアポリポ蛋白質 A-I(ApoA-I)の血中量の低下によってアテローム性動脈硬化に起因する心血管疾患が増加することが以前から知られています。

研究者は次のように述べています:

「今回の研究では、2型糖尿病患者において HDL コレステロールの不足によってカロリー燃焼とブドウ糖の消費が損なわれる理由が初めて示されました。

今回の結果は、女性の2型糖尿病患者にとって大きな意味を持つでしょう。 同じ糖尿病患者でも、男性よりも女性のほうが、HDL コレステロールと ApoA-I が不足するために心血管疾患(心臓疾患や動脈硬化)を起こすリスクが高いのです」