HDLコレステロール値が高いだけでは必ずしも健康的でない理由

(2016年11月) "Cell Metabolism" 誌に掲載されたマーストリヒト大学の研究によると、HDLコレステロール値が高いだけでは必ずしも健康的でないのは、抗炎症作用を有するHDLコレステロールが免疫細胞の一種であるマクロファージに限っては炎症反応を促進するためかもしれません。

炎症促進性には良い面も
病原体の排除という点においては、HDLコレステロールがマクロファージの炎症応答を促進する作用も有益である可能性があります。
コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の研究から言えるのは、HDLコレステロールの機能がこれまで考えられていたほど単純ではなく、作用対象となる組織や細胞のタイプにより作用が異なるということです。 HDLコレステロールの実際の健康への影響は、HDLコレステロールが有する炎症促進性と抗炎症性のバランスにより決定されることでしょう」
研究の弱点
研究者によると今回の研究には次のような弱点があります:
  • 今回の研究で調べたのは急性の炎症反応だけだったので、心臓病などのリスクに影響する慢性的な炎症へのHDLコレステロールの影響は不明。
  • マクロファージの作用を特にアテローム性動脈硬化の組織に限って調べたわけではない。
マクロファージと動脈硬化

マクロファージはアテローム性動脈硬化に見られる炎症を促進するものの、マクロファージのアテローム性動脈硬化への作用は一様ではありません。 動脈硬化の初期においては、マクロファージは脂質や細胞の破片を掃除して動脈硬化を軽減してくれます。 ところが動脈硬化の後期においては、マクロファージのこのような作用は有害となりかねません。 動脈硬化のプラークを安定性を損なってしまうためです。