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「健康的な肥満」 でも認知症のリスク

(2012年8月) ここ数年で「健康的な肥満」もあると言われるようになりました。 「健康的な肥満」とは血糖値やコレステロール値が高くない肥満のことで、心臓病などのリスクが増加しないとされるタイプの肥満です。

しかし "Neurology" 誌に掲載された今回の研究によると、「健康的な肥満」であっても認知症のリスクは増える可能性があります。 肥満であること自体によって認知能力が衰えるスピードが増加してしまうのです。

研究の方法

この研究はフランス国立医学研究機構が行ったもので、中高年の男女 6,400人ほどの健康状態を10年以上にわたって追跡調査しました。 研究開始時の年齢は35~55才(平均50才)でした。 研究期間の初めに BMI などの代謝リスク要因と認知能力のテストを行い、その後、研究期間の10年の間に記憶力などの認知能力のテストを3回行いました。

6,400人のうち肥満だったのは582人。 このうち40%ほどが「代謝的に健康」だとみなされました。 そして、次のリスク要因のうち2つ以上に該当した人を「代謝的に不健康」だとみなしました:
  1. 高血圧である。 または高血圧の薬を服用している。
  2. HDL(善玉)コレステロールの値が低い。
  3. 血糖値が高い。 または糖尿病の薬を服用している。
  4. 中性脂肪が高い。
結果

肥満者は「代謝的に健全」なタイプか「代謝的に不健全」なタイプかに関わらず、研究開始の時点ですでに認知テストの結果が思わしくなく、その後の10年間における認知能力の下落幅も大きいという結果でした。

いちおう「代謝的に不健全」なタイプの肥満の人が、認知能力の衰えが最も酷かったのですが、「代謝的に健全」なタイプの肥満の人の衰え方も統計学的には大した違いはありませんでした。 「代謝的に不健全」な肥満の人は10年間のうちに、体重が普通でなおかつ代謝的な異常の無い人よりも22.5%も早く認知能力が衰えました。

過体重や普通体重であっても2つ以上の代謝リスク要因に該当した人では認知能力が劣っていたことから、肥満以外にも認知症のリスク要因が存在しているのだと思われます。

コメント
研究者は次のように述べています:

「肥満が血管に変化を与えるために脳への血流が影響を受けているか、あるいは炎症が起こってそれが脳に流入しているのだと思われます」

「認知症の防止には、体重管理・中年期における健康的な食事・定期的な運動・禁煙・血圧とコレステロールの管理などが有効です」
留意点
今回の研究の参加者は全員が公務員でした。 したがって厳密に言えば、今回の結果は、他の社会階層や職種の人には当てはまらないかもしれません。 また、この研究では、肥満であった期間や代謝のリスク要因を抱えていた期間の長さ、各個人のそもそもの認知能力なども考慮していません。
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