心臓疾患の病歴がある高齢女性では認知症のリスクが増加

(2014年1月) 心臓や血管の病気と認知症との関係はすでに経験的に知られていますが、"Journal of the American Heart Association" に掲載されたドイツの研究において、閉経後の女性に心臓疾患の病歴がある場合には思考力と記憶力が衰えるリスクが通常の2倍になるという結果が出ています。

研究の方法

この研究では、65~79才の女性 6,000人以上に、心臓疾患の病歴の有無について尋ね、さらに認知機能(思考力・記憶力)のテストを実施しました。 認知機能のテストは、研究の開始時に1回行い、その後も8年間にわたって年に一回行いました。

結果
主な結果は次の通りです:
  • 研究開始の時点で認知機能に問題のある女性はいなかった。 心臓疾患の病歴があったのは900人近くだった。
  • 400人超に認知症や認知機能の衰えの兆候が見られた。
  • 心臓疾患の病歴のあるグループでは、認知機能に問題がある率が病歴の無いグループに比べて29%増加していた。
  • 心臓疾患の中でも心臓発作の病歴のあるグループで、認知機能に問題のある率が最高となっていた。
  • バイパス手術をしたことがあるグループや末梢動脈疾患(脚や足に血液を運ぶ動脈の硬化)の病歴があるグループでも認知機能に問題のある率が高かった。
  • 一方、心拍リズムの異常あるいは心不全の病歴のあるグループでは、このようなリスクの増加は見られなかった。
  • 心臓疾患の有無に関わらず、高血圧や糖尿病のあるグループでは認知機能に問題のある率が高かったが、肥満ではこのようなことは無かった。
専門家のコメント

ジョンズ・ホプキンス大学の研究者(今回の研究には関与していない)によると、血管系の老化は①静脈や動脈におけるプラークの蓄積や、②炎症、③血液の供給量不足による脳組織の死滅など、複数の面において認知機能が悪化する原因となります。

今回の研究の研究者は次のように述べています:
「心臓病というのは単に動脈が詰まるというだけの病気ではありません。 心臓病は炎症による病気でもあるし、脳の内皮細胞の代謝回転(ターンオーバー)や脳の老廃物を洗い流す作用がある脳脊髄液の生産にも影響します」