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酷暑で腸の疾患が増加する?

(2013年8月) "The American Journal of Gastroenterology" に掲載されたスイスの研究によると、酷暑の最中や酷暑の直後には炎症性腸疾患(IBD)と胃腸の感染症による入院件数が増加します。

今回の研究によって、これまで考えられていた以上に気候が健康に与える影響が大きいことがわかりました。

IBD とは

IBD とは、免疫系が消化管を攻撃する自己免疫性の慢性疾患のことで、腸および人によっては肝臓などに慢性的な炎症が生じます。 胃腸炎は、ウイルスや、細菌、寄生虫が原因となる病気で、嘔吐と下痢が主な症状です。 子供と老人で、胃腸炎による合併症のリスクが増加します。

研究の方法

この研究では、2001~2005年の間に IBD(クローン病と潰瘍性大腸炎を含む)で入院した患者738人と、腸の感染症で入院した患者786人のデータを分析しました。 この期間の気温のデータは、チューリッヒの気象局から入手しました。

結果

2001~2005年の間に発生した酷暑は17回で、酷暑の継続期間は最大で19日間でした。 酷暑の最中には、IBD と腸の感染症による入院件数が、酷暑の継続日数が1日増えるごとに5%近く増加していました。

腸の感染症による入院は酷暑の発生から1週間遅れるようであり、それを考慮に入れると(つまり、酷暑期間中だけでなく酷暑後1週間に発生した腸の感染症による入院件数も含めると)酷暑による入院件数は、酷暑の期間が1日増加するごとに7%増加していました。

大腸炎や小児脂肪便症(麦類に含まれるグルテンというタンパクに対する免疫反応が原因となる消化器系疾患で、食物から栄養を吸収できなくなる。 セリアック病ともいう)などの非感染性の慢性的な腸炎では、酷暑による入院件数の増加は見られませんでした。

過去の類似研究

IBD と天候の関係について調べた過去の複数の研究は結果が一致しておらず、冬季に IBD の症状が悪化するという結果になったものもが複数ありますし、その逆の結果になったものも複数あります。

原因の推察

酷暑によって胃腸疾患の患者数が増加する理由は不明ですが、研究グループによると、酷暑によって(腸内の)細菌が影響を受けたり、体がストレスを受けるのが原因だと考えています。 胃腸炎による入院件数が酷暑の発生から1週間遅れるのは、腸内細菌が増殖(増減?)するのに時間がかかるからだと考えられます。

今回の研究の欠点

ただし、今回の研究に参加しなかったハーバード大学の研究者は、今回の結論の大部分が憶測に基づくものであると批判しています。 今回の研究には、IBD の病歴や、治療、医師の指示に従っているかどうか、通院の理由、そして IBD の発作のリスク要因である喫煙習慣やアスピリンの服用習慣などの情報が欠けていますが、これらの要因によって研究結果が影響を受けている可能性があります。

さらに、今回の研究では、研究グループも認めているように、比較対照用のグループ(非感染性の慢性的な腸炎の患者たち?)の中に軽度の IBD の人や、実は IBD であるという人が混じっていた可能性があります。

前出のハーバード大学の研究者は次のように述べています:
「酷暑の日が1日あっただけで、寛解中の IBD 患者に入院するほどの IBD の発作が起こるとは考え難いですね。 今回の研究は、けっこう穴があるので、鵜呑みにしないようにしましょう。」