(2018年5月) "Plos One" に掲載された国立がん研究センター(日本)などの研究で、身長と死亡リスクの関係が調査されています。
研究の方法
日本に住む40~69才の男女11万人弱(男性5万人超、女性5万7千人超)の死亡状況を平均19年間(1990~1993年から 2013年末まで)にわたり追跡調査しました。
そして、身長(自己申告)に応じてデータ4つのグループに分けて身長とガンや心臓病などで死亡するリスクとの関係を分析しました。
4つのグループは男女でそれぞれ次のようなものです:
男性
- 160cm未満
- 160~163cm
- 164cm~167cm
- 168cm以上
女性
- 149cm未満
- 149~151cm
- 152cm~155cm
- 156cm以上
結果
追跡期間中に男性は 12,320人、女性は 7,030人が死亡しました。
男性
身長が高い男性は脳卒中で死亡するリスクと呼吸器疾患で死亡するリスクが低下していましたが、ガン(種類は問わない)で死亡するリスクが増加していました。
脳卒中
身長が160cm未満のグループに比べて168cm以上のグループは17%の死亡リスク低下。 身長が5cm高くなるごとに5%の死亡リスク低下。 脳卒中を虚血性と出血性に分けると、身長が高い場合に死亡リスクが下がっていたのは出血性に限られていた。
呼吸器疾患
身長が5cm高くなるごとに8%の死亡リスク低下。 身長が160cm未満のグループと168cm以上のグループの比較では16%の死亡リスク低下だが統計学的な有意性に欠けていた(95% CI: 0.69-1.03)。 160cm~167cmの2つのグループは160cm未満のグループに比べて死亡リスクが24~29%低かった。
ガン
身長が160cm未満のグループに比べて168cm以上のグループは17%の死亡リスク増加。 身長が5cm高くなるごとに4%の死亡リスク増加。
1940~1950年代生まれに限ると
身長が5cm高くなるごとに、総死亡リスクが-5%、心臓病で死亡するリスクは-12%、脳卒中で死亡するリスクが-17%、その他の原因で死亡するリスクが-9%だった。 ガンで死亡するリスクと身長との間には関係が見られなかった。
女性
女性では身長と死亡リスクとの間にあまり関係が見られませんでしたが、卵巣ガンについては、身長が156cm以上のグループは149cm未満のグループに比べて死亡リスクが2.2倍に増加していました。 身長が5cm高くなるごとに卵巣ガンで死亡するリスクが34%増加するという計算になります。
脳卒中については、身長が高いと出血性脳卒中で死亡リスクが低いという傾向が見られました。
1940~1950年代生まれに限ると、身長と死亡リスクとの間にまったく関係が見られませんでした(ガンの種類別の死亡リスクは記載が無かった)。