寄生虫は腸内細菌を介して免疫系に影響を及ぼす

(2015年10月) 寄生虫の一種である回虫が人体の免疫系に有益な作用を及ぼすことが知られていますが、"Immunity" 誌に掲載されたスイス連邦工科大学ローザンヌ校などの研究により、そこに腸内細菌が関与していることが明らかになりました。

回虫と免疫系

回虫は腸内に寄生する蠕虫の一種です。 先進国の住民にはほとんど見られなくなったものの、大昔からヒトと共に進化してきたために人体との間に密接な関係が築かれており、回虫は自らを守るためにヒトの免疫系を調節することが出来ます。

回虫がヒトの免疫系に及ぼす影響は人体にとっても有益で、例えばアレルギー性喘息が緩和されたりします。 回虫を医療に利用する技術も研究されていますが、回虫がヒトの免疫系を調節する具体的なメカニズムはほとんどわかっていません。

研究の概要

蠕虫に慢性的に寄生されている豚を調べたところ、腸内で生産される短鎖脂肪酸の量が増えていました。 マウス実験でも同じ結果となりました。

短鎖脂肪酸は腸内細菌が(宿主の食事をエサとして)生産する脂肪酸で、様々な受容体を活性化させる作用があります。 短鎖脂肪酸により活性化する受容体は、免疫系の活性化・結腸の一部の機能(あるいは機能不良)・アレルギー性気道疾患に関与しています。