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ヘルペスに感染している人は老化が早い

(2017年9月) "Journal of Infectious Diseases" に掲載されたキングズ・カレッジ・ロンドンなどの研究によると、ヘルペス・ウイルスへの感染により老化が促進される恐れがあります。 ヘルペス・ウイルスに感染している人は細胞の老化の指標であるテロメア(下記参照)が3年間のうちに早いペースで短くなるというのです。

研究の方法

53~76才の健康な男女400人を対象に、4種類のヘルペス・ウイルス(*)に感染しているかどうかを検査したのち3年間におけるテロメア長さの変化を調べました。 データの分析においては、年齢・性別・職業・BMI・喫煙習慣を考慮しました。
(*) サイトメガロ・ウイルス、単純ヘルペス・ウイルス1型(HSV-1)、ヒトヘルペスウイルス6型、エプスタイン‐バー・ウイルス(EBV)の4種類。

結果

EBVを除く3種類のヘルペス・ウイルスのいずれかに感染していると、感染していない場合に比べて3年間のうちにテロメアが大幅に短くなっていました。

ヘルペス・ウイルス感染のテロメアへの影響は大きなもので、例えばサイトメガロ・ウイルス感染者に見られたテロメア短縮の幅は暦年齢(*)12才分ほどにも相当します。
(*) 生年月日に基づく年齢。(⇔ 肉体年齢)

また、感染しているヘルペス・ウイルスの種類が多い場合には、その分だけテロメアの短縮幅が大きくなっていました。

解説

ヘルペス・ウイルスへの感染が、炎症や酸化ストレスなどを介してテロメアの長さに悪影響を及ぼしている可能性が考えられます。

ヘルペスについて

人類の大部分は何らかの(場合によっては複数の)種類のヘルペスに感染しています。 EBVには人類の90%超が感染していると言われています。

ヘルペス・ウイルスには何種類もありますが、ヒトに感染するヘルペス・ウイルスは5種類で、そのうちのHSV-1が主として口唇ヘルペスの原因となり、HSV-2が主として性器ヘルペスの原因となります(最近ではHSV-1が性器ヘルペスの原因となるケースが増加しつつある)。

ヘルペス・ウイルスは感染しても深刻な症状を引き起こすことは少なく、EBVやサイトメガロ・ウイルスのように感染者の大部分で症状が生じません(*)
(*) ただし、EBVは様々なガンのリスクを増加させます。 サイトメガロ・ウイルスも、胎児に感染すると胎児の死亡や先天性奇形の原因となることがあります。

テロメアとは

テロメアは、染色体の両端に存在して、染色体同士が癒着したり変質したり(ガンの原因になる)しないように保護している部分のことです。 染色体が靴紐であるとすれば、テロメアは靴紐の先端のキャップに該当します。

テロメアは細胞が分裂するたびに(つまり老化により)短くなってゆき、テロメアが失われた染色体は不安定になります。 通常はテロメアが一定以下の長さになった時点で「細胞老化」により細胞が破壊されますが、このような破壊を免れた細胞はガン化します。

老化の指標

細胞が分裂するたびに短くなっていくというテロメアの性質のために、テロメアは肉体の老化度を知るための指標として用いられます。

テロメアが短くなる要因

喫煙・肥満・劣悪な食事・過度の飲酒・心理的ストレス・酸化ストレス・慢性炎症によってテロメアが短くなるペースが速まることが複数の研究で示されているほか、ガン・心血管疾患・認知症・肥満・脳卒中・骨粗鬆症・感染症・糖尿病・高血圧などの病気や体質(遺伝子のタイプ)によってもテロメアは短くなります。