コレステロールが高いとビタミンEが血流中から組織へと吸収されない

(2015年3月) "American Journal of Clinical Nutrition" に掲載されたオレゴン州立大学の研究によると、血中脂質(トリグリセライドを含むコレステロール)が多いとビタミンEが血中から細胞へと吸収されません。 したがって、特に肥満者やメタボリック・シンドロームの人の場合には、血液検査だけではビタミンE不足かどうかの判断はできないと考えられます。

研究者は次のように述べています:

「体の組織はほぼ全てが酸化による攻撃(酸化ストレス)にさらされておりビタミンEを必要としています。 ところが血中のコレステロール量が多い場合には、ビタミンEが血流中に押し留められていつまでも血管内を循環し続けるだけで、必要な組織にビタミンEが届けられないわけですから、高脂血症の人では全身的に炎症のリスクが増加することになります」

「血流中に存在するビタミンEもそれなりに有効で、LDLおよびHDLコレステロールを酸化から保護するという作用を果たしますが、そのような効果はビタミンEを必要としている体組織にビタミンEが届かないという弊害を帳消しにするほどのものではありません」
研究の内容

この研究では老若男女41人に、重水素(水素の同位体)で目印を付けたビタミンEが含まれる野菜を食べてもらいました。 ビタミンEに重水素で目印を付けたのは、体内に取り込まれたビタミンEが存在する場所を追跡するためです。

ビタミンEの体内への吸収率に関して年齢・性別による有意な違いは見られませんでしたが、体内に吸収されたビタミンEが血流中に留まっている時間は、血中脂質の量が多い人ほど長くなっていました。 血中脂質量は年齢が高い人や太っている人で多くなる傾向にあります。

今回の研究ではさらに、同位体を用いた調査によって、摂取したビタミンEのうち体内に吸収されるのが24%に過ぎないことも明らかになりました。
放射性ビタミンEを用いる従来の調査方法では、81%が体内に吸収されるという結果になっていました。
ビタミンEとは
ビタミンEは脂溶性で強力な抗酸化能力を持つ物質であり、全身のフリーラジカルの除去や神経機能において重要な役割を果たしていますが、動脈壁や、脳、肝臓、眼、皮膚において特に必要とされます。
フリーラジカル
フリーラジカルは、人体に侵入してきた細菌を殺すなどの有益な役割を果たしますが、過剰に存在すると細胞を傷つけてガンや、脳卒中、心臓発作、糖尿病、動脈硬化などのリスクを増加させます。 老化の原因になるとも言われています。 フリーラジカルは体内で自然に作られるほか、日光や、農薬などの汚染物質が原因でも作られます。

ビタミンEは食用油や一部の野菜に豊富に含まれていますが、米国では90%超の人がビタミンEの推奨摂取量を摂れていません。

米国のビタミンE推奨摂取量は1日あたり15mg(日本の推奨摂取量は、その約半分)で、この量が多過ぎると考える専門家もいますが、今回の研究者は「今回の研究を考慮してやはり15mg/日程度が妥当だと思われる」と述べています。