大量に塩分補給しても競技パフォーマンスは向上しない

(2015年4月) 塩分の補給量を増やすことで発汗が促進され、それによって深部体温(体の末端ではなく中心部の体温)が下がって競技パフォーマンスが向上するという仮説があり、一部のアスリートはパフォーマンスを向上させるためにサプリメントで大量に塩分を補給していますが、"Journal of Sports Science and Medicine" に掲載されたセントルイス大学(米国)の研究でによると、そのような塩分補給はパフォーマンスに影響しません。(出典: More Salt Doesn’t Mean Better Performance for Endurance Athletes

研究の方法

この研究では持久スポーツ(長距離走などでしょう)のアスリート11人を被験者とする二重盲検試験を行いました。

試験では、アスリートたちに心拍リザーブ(安静時の心拍数と最大心拍数の差)が60%となる程度の激しさの持久運動を2時間行った後に、運動パフォーマンスを計測するということを(期間を空けて)2回繰り返しました。

2回のうちの1回では塩を1.8g含有するサプリメントを服用してもらい、もう1回ではプラシーボを服用してもらいました。 運動で失われた水分の量は2リットル超でした。

結果
塩のサプリメントによる体温調節(発汗量)への影響は見られませんでした。 アスリートたちの発汗率、疲労感、熱ストレス、心血管ドリフト(*)、皮膚温度、および脱水の程度に2回の試験のあいだで違いが見られなかったのです。
(*) 運動を一定時間続けていると運動の負荷が一定であるにも関わらず心拍数が増加してくるという現象。
塩分の大量摂取によっても競技パフォーマンスが向上しないという今回の結果と、塩分の摂り過ぎが健康に良くないという事実に基づき、研究者は過度の塩分補給を慎むように呼びかけています。

「運動中に塩分を適度に補給するのは完璧に合理的であり推奨されるべきですが、過度の塩分補給は高血圧などのリスク要因になります。 多くの米国人はすでに塩分を摂り過ぎですし」

「日常的な塩分摂取量が2.3g/日という塩分摂取推奨量の上限を超えている場合には特に、運動中の塩分補給には慎重であるべきです」