高脂肪食で乳ガンのリスクが増加

(2014年4月) 過去30年間にわたって高脂肪食と乳ガンのリスクとの関係が議論されてきましたが、"Journal of the National Cancer Institute" に掲載されたイタリアの大規模研究によると、高脂肪の食事をしている女性では、乳ガンのリスクが増加すると考えられます。

研究の方法

10ヶ国の女性 337,327人を対象にアンケートを実施して、脂肪摂取量・喫煙習慣・初潮年齢・妊娠歴・ホルモン補充療法の使用・BMIなどを尋ねたうえで、平均で11.5年間にわたり追跡調査を行いました。

結果

追跡期間中に乳ガンと診断されたのは 10,062人でした。 女性たちの脂肪摂取量は、摂取量が最大のグループで平均48g/日、摂取量が最小のグループでは平均15g/日でした。

脂肪摂取量と乳ガンの発症率を照らし合わせたところ、飽和脂肪の摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループに比べて乳ガンになるリスクが30%ほど増加していました。 飽和脂肪酸に限らず脂肪全体で見ても、摂取量が多い女性で乳ガンのリスクが増加していました。

脂肪の種類を問わない脂肪摂取量全体では、脂肪摂取量が多いグループでエストロゲン受容体ポジティブ(ER+)およびプロゲステロン受容体ポジティブ(PR+)の乳ガンのリスクが増加していました。
エストロゲンやプロゲステロンというのはホルモンの名前で、"ER+""PR+" というのは、乳ガンのタイプがこれらのホルモンに反応して成長するタイプだという意味です。
一方、飽和脂肪に限って見ると、飽和脂肪の摂取量が多いグループでは、ER+ および PR+ の乳ガンのリスクに加えて、上皮細胞成長因子受容体2ネガティブ(HER2-)の乳ガンのリスクも増加していました。
HER2 というのはタンパク質の一種で、"HER2-" というのは、このタンパク質が過剰に検出されないタイプの乳ガンだということです。 HER2 自体は健康な乳細胞にも存在しますが、HER2+(ポジティブ)の乳ガン腫瘍では遺伝子変異によって HER2 が異常に増加します。
解説

脂肪摂取量が多いと乳ガンのリスクの増加する理由は完全には解明されていませんが、高脂肪食によって体内で生産されるエストロゲンの量が増えて、これによって乳ガン細胞の成長が促進されるのではないかと考えられています。

研究者は、「今後の研究で今回の結果を確認する必要がある」としたうえで、とりあえず飽和脂肪の摂取量を総摂取カロリーの10%以内に収めることを勧めています。 飽和脂肪は肉や乳製品に多く含まれています。