HDLコレステロール値が高すぎると心臓病以外で死亡するリスクが増加

(2016年11月) "Journal of the American College of Cardiology" に掲載された Institute for Clinical Evaluative Sciences(カナダ)などによる研究で、「善玉」と呼ばれるHDLコレステロールの値が低すぎる場合に心臓病などで死亡するリスクが上がるだけでなく高すぎる場合にもガンなどで死亡するリスクが高まるという結果になりました。

研究の方法

心血管疾患(心臓病や脳卒中)の病歴が無い40~105才(平均年齢57才)のカナダ人男女63万人超のデータを用いて、HDLコレステロール値と死亡率との関係を調べました。 データの分析においては生活習慣の違いを考慮しました。

結果

HDLコレステロール値が低いグループはHDLコレステロール値が40~60mg/dLのグループに比べて、心血管疾患で死亡する率と心血管疾患以外の原因(ガンなど)で死亡する率が高くなっていました。

そして、HDLコレステロール値が非常に高い(*)グループでも、心血管疾患以外の原因で死亡する率が増加していました。
(*) 男性では70mg/dL、女性では90mg/dL。 現在のところ、HDLコレステロール値は60mg/dL以上が理想的だとされています。
解説

HDLコレステロール値が低い場合に心血管疾患による死亡リスクが増加するという点では、今回の研究はこれまでの研究と同じ結果でした。 しかし、HDLコレステロール値が(非常に)高い場合にもガンなどで死亡するリスクが増加するという結果は比較的目新しいものです。

HDLコレステロール値が非常に高い場合に心血管疾患以外の原因で死亡するリスクが増加する理由は不明ですが、これまでの研究によると飲酒量の多さが関係している可能性があります(HDL値は飲酒により増加することがあります)。

結論
結論として、研究チームは次の2点を主張しています:
  • HDLコレステロール値だけでは、心血管疾患のリスクを測る指標として使えない可能性がある。
  • HDLコレステロール値を上げるだけでは、心臓病で死亡するリスクが減らない可能性がある。
コメント
研究者は次のように述べています:
「HDLコレステロール値を上げても(心臓病の)患者の役には立たない可能性が高いです。 今回の研究によると、心臓病の治療や予防にはHDLコレステロール値を上げるよりも生活習慣を改善するのが有効だと思われます」
今回の研究で、HDLコレステロール値が最低だったグループには、社会経済的状態(収入・職業・学歴など)が低く生活習慣があまり健康的でない人たちが多く見られました。