ビタミンCやEが激しい有酸素運動による持久力向上を邪魔する理由

(2015年11月) HIITと呼ばれる運動法により身体能力が向上することが知られていますが、"PNAS" に掲載されたスェーデンの研究によりその理由の解明が進みました。
HIIT(High-intensity interval training)
HIITでは、ウォームアップの後に、短時間の高強度有酸素運動(全力での短距離走など)と、休憩を兼ねた低~中強度の運動(ジョギングやウォーキングなど)とを組み合わせたトレーニングを行います。 所用時間は4~30分。
研究の方法

運動習慣のある男性たちと持久運動の選手たちにHIITを行ってもらった後、太腿の筋肉から組織サンプルを採取して分析しました。

結果

運動習慣のある男性たちでは、高強度の運動によって筋肉細胞に存在し「RyR1」と呼ばれるカルシウム・チャネルが分解され、それによって細胞によるカルシウムの扱い方に一時的ではない変化が生じていました。 一方、持久運動の選手ではHIITによってカルシウム・チャネルが分解されませんでした。

カルシウム・チャネルの分解は、ミトコンドリアの新規形成などの適応のシグナルです。 ミトコンドリアが「細胞の発電所」であるため、ミトコンドリアの新規形成を促進するような変化が生じると筋肉の持久力が増加します。

フリーラジカルが関与

カルシウム・チャネルの分解を引き起こしていたのは、高強度の運動により生じたフリーラジカルの増加でした。

フリーラジカルは不安定な電子が余分に結合している分子であり、細胞のタンパク質を酸化させる作用を持ちます。 この作用に対して、細胞にはフリーラジカルを捕捉および無害化する抗酸化システムが備わっています。

抗酸化物質で運動効果が損なわれる

そこでマウスにHIITを行わせて、その前後で筋肉サンプルを採取して抗酸化物質で処理するという実験を行ったところ、抗酸化物質によってフリーラジカルによるカルシウム・チャネルの分解が阻止されました。

持久運動の選手でカルシウム・チャネルの分解が行われなかったのは、このような人たちでは体内の抗酸化システムが発達しているためだと考えられます。