高力価のスタチン服用で糖尿病のリスクが増加

(2014年6月) "*The BMJ*" に掲載されたカナダの研究によると、心臓に問題がある人の場合にはコレステロール低下薬であるスタチンのうち力価(薬の威力)の高いものを服用すると糖尿病を発症するリスクが増加するかもしれません。
Colin R Dormuth, Kristian B Filion, J Michael Paterson, Matthew T James, Gary F Teare, Colette B Raymond, Elham Rahme, Hala Tamim, Lorraine Lipscombe. Higher potency statins and the risk of new diabetes: multicentre, observational study of administrative databases. The BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g3244 (Published 29 May 2014)

ただし研究者によると、問題はスタチンを服用するかどうかではなく、スタチンの服用量を減らすかどうかです。

研究の方法

この研究では、脳卒中・心臓発作・その他の主要な心臓疾患で入院した後にスタチンの服用を開始した患者13万7千人(英国・米国・カナダに在住)のデータを分析しました。 患者たちの中に、スタチン服用開始の時点で糖尿病の人はいませんでした。

結果
13万7千人のうちスタチン服用開始後2年以内に糖尿病と診断されたのは 3,600人でした。 力価の高いスタチンを服用していた患者では、力価の低いスタチンを服用していた患者に比べて、糖尿病と診断されるリスクが15%増加していました。
(*) 「力価が高い」とは、この研究においてはロスバスタチン(クレストール)であれば10mg/日以上、アトルバスタチン(リピトール)であれば20mg/日以上、シンバスタチン(ゾコール)であれば40mg/日以上を指します。 それ以外の用量はすべて低力価とみなしました。
解説

スタチンと糖尿病リスクとの関係については、これまでに2つの大規模な試験が行われています。 これらの試験によると、スタチンの服用によって糖尿病のリスクが僅かに増加し、高力価のスタチンの服用では低力価のスタチン服用より僅かに糖尿病のリスクが増加します。

研究者は次のように述べています:
「一般的に使用されることの多いシンバスタチンや、アトルバスタチン、ロスバスタチンなどを低用量で服用した場合の糖尿病発症リスクの増加度は10%程度だと思われます。 これらのスタチンを高用量で服用すると、糖尿病のリスクは20%増加します」
過去に行われた複数の研究では、スタチンを高用量で服用することで深刻な心臓トラブルの再発リスクが、低用量で服用する場合に比べて15%減少するという結果になっています。 ただし、それらの研究ともまた別の複数の試験では、高用量を服用した患者と低用量を服用した患者とで死亡率に変わりはないという結果が出ています。
「遺伝的に高コレステロールになりやすいなど、患者によっては高用量のスタチンが必要となるケースもあります。 『スタチンの服用により糖尿病のリスクが15%増加し、心臓トラブルのリスクが15%低下するから差し引きゼロだ』というような単純な話ではありません。 スタチンの服用量について心配がある場合には医師と相談しましょう」