HIVに感染すると老化する。 老化はすぐに始まる

(2016年4月) "Molecular Cell" 誌に掲載されたカリフォルニア大学サンディエゴ校などの研究で、HIV(エイズウイルス)への感染により5年分老化が進むことが明らかになりました。出典: HIV Infection Prematurely Ages People by an Average of Five Years

研究の背景

治療技術の発展により、HIVに感染しても多くの人は数十年を生きられるようになりましたが、HIV患者が早期老化の様々な兆候を示すことが複数の医師により報告されていました。 そこで研究チームは今回、HIVへの感染が老化に及ぼす影響を細胞レベルで調査しました。

研究の方法
HIVに感染して抗ウイルス治療を受けている患者137人と健常者44人とで遺伝子に生じた後成的な変化(*)を比較しました。 そしてその結果を、48人のHIV患者と健常者で確認しました。

(*) 後成的(エピジェネティック)な変化とは、食事や環境などの後天的な要因が遺伝子に影響して、遺伝子の発現(遺伝子の設計図に基づいて体内でタンパク質が作られること)のパターンが変わることです。

これまでの研究で、老化に伴い遺伝子に後成的な変化が生じることがわかっています。
結果

HIVへの感染により老化が平均で4.9年分早く進んでいました。 この数字を死亡率に換算すると、19%の死亡率増加ということになります。

HIV感染後すぐに老化する

HIVに感染してからの経過時間はHIV患者の老化の程度に影響していませんでした。 HIV感染から5年未満のグループとHIV感染後12年超が経過した患者とで、後成的な変化の程度に違いが見られなかったのです。

アドバイス
HIV感染が引き起こす老化に対処するための治療法が今後開発されることも考えられますが、さしあたってHIV患者は運動・食事・飲酒・喫煙などの生活習慣を改善して、老化によりリスクが増加する心臓疾患・脳卒中・認知症・肝臓疾患などの病気にならないように注意すると良いでしょう。