ホルモン補充療法によって認知機能が衰える心配は無い

(2015年6月) "PLoS Medicine" に掲載されたウィスコンシン大学マディソン校の研究によると、更年期頃の比較的若い女性においては、更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法によって認知機能が衰える心配は無いと思われます。

ホルモン補充療法について

ホルモン補充療法は閉経により卵巣でホルモンが作られなくなるのを補うために行われるもので、骨粗鬆症の予防、ホットフラッシュ寝汗などの更年期症状の緩和などの効果があります。

しかしながら、ホルモン補充療法によって心臓発作・脳卒中・一部のガン(乳ガンや卵巣ガン)のリスクが増加することが知られるようになったためホルモン補充療法の利用は減っています。

過去の複数の研究で65才超の女性においてはホルモン補充療法によって認知機能低下のリスクも増加することが示されていますが、65才より若い女性でどうなのかは不明でした。

研究の方法
平均年齢が52.5才で閉経から1年ほどが経過した女性693人を次の3つのグループに分けました:
  1. エストロゲン(錠剤)に加えて毎月の最初の12日間のみプロゲステロン(カプセル)も使用するグループ
  2. エストロゲン(貼り薬)に加えて毎月の最初の12日間のみプロゲステロン(カプセル)も使用するグループ
  3. 錠剤も貼り薬もカプセルも全部プラシーボのグループ

そして3つのグループを4年間にわたり追跡調査して、学習力や記憶力などの認知能力と気分を検査するテストを行いました。

結果

認知機能に関して3つのグループのあいだに違いは見られませんでした(ホルモン補充療法によって認知機能は低下していなかった)。 また1のグループでは3のグループに比べて、4年間のうちに不安感と鬱症状がいくぶん改善されていました。

コメント
研究者は次のように述べています:
「今回の研究で示された気分改善の効果はあくまでも付随的なものなので、気分改善を目的としてホルモン補充療法を使うことが推奨されるわけではありません。 ホルモン補充療法はベネフィット(メリット)がリスク(デメリット)を上回っている場合にのみ利用しましょう」