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ホルモン補充療法のガイドライン

(2013年3月) 更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法(HRT)では、女性ホルモンであるエストロゲンや黄体ホルモンを投与しますが、10年ほど前に行われた大規模な研究により、HRT を受けている閉経後の女性において乳ガンのリスクが25%増加していることが示されました。

それ以来、HRT の使用に関して意見が定まっていませんが、今回、世界中の複数の医師協会(*)が、HRT の使用に関する共同声明を発表しました。 主な内容は次の通りです:
(*)国際閉経学会、米国生殖医療学会、アジア太平洋閉経学会、米国内分泌学会、欧州閉経・男性休止学会、国際骨粗鬆症財団、北米閉経学会
  1. HRT はホットフラッシュや睡眠障害などの閉経後の症状の治療法として最も効果的であるがリスクもあるので、年齢・遺伝的体質・健康状態・子宮摘出の有無・その他のリスク要因など患者に合わせて使用するべきである。 参考記事: ホルモン補充療法による乳ガンのリスクは痩せた女性で顕著
  2. HRT にリスクはあるが、60歳以下の女性である場合、または閉経後10年未満の女性である場合には、リスクよりもメリットが大きいケースが一般的である。 骨の健康に有益であるほか、早死にや心血管疾患のリスクが減少する。
  3. HRT の治療を停止してから数年で、乳ガンのリスク増加は元に戻ると思われる。
  4. 更年期障害の症状が陰部の痛みだけである場合には、HRT を低用量で行うことが推奨される。
  5. 乳ガンの病歴のある人に HRT は望ましくない。

米国立衛生研究所(NIH)では、HRT を受ける場合にまずは短い期間だけ最低の用量で HRT を行い、6ヶ月ごとに検査を受けて HRT の必要性を判断することを勧めています。

英国閉経学会のガイドライン

2013年5月には英国閉経学会が HRT に関するガイドラインを更新しています。 その要点は以下の通りです:
  1. HRT を受けるかどうかは患者自身が判断して決めることであるが、その判断の前には、医師から十分に情報を得ておく。
  2. HRT の用量および期間などの治療計画は、個々の患者に応じたものを計算したうえで決定する。
  3. HRT を受けている女性は、HRT のメリットとデメリット(HRTを続けるかどうか)を毎年あらためて検討し直す。
  4. HRT の期間について恣意的な制限を適用すべきではない。 基本的には、(更年期障害の)症状が残っている限り、HRT のメリットがデメリットを上回る。
  5. HRT は、60歳以下の女性の場合にベネフィット(メリット)がリスクを上回る。
  6. 早期から卵巣機能不全となった女性は、少なくとも平均的な閉経年齢までは HRT を続けるべきである。
  7. 60歳を超える女性が HRT を用いる場合には、まずは低用量から始めるべきである。 60歳を超える女性では、経皮(皮膚に塗ることによる)投与が望ましい。