温浴習慣に慢性炎症を抑制する効果?

(2018年11月) "Journal of Applied Physiology" に掲載されたラフバラー大学(英国)の研究によると、長時間の温浴により運動したときと同じように慢性炎症を抑制する効果を得られるかもしれません。出典: American Physiological Society

運動と体温の上昇と炎症反応

運動後には炎症マーカーの一種であるIL-6の血中濃度が一時的に上昇します。 IL-6の増加により、炎症反応(inflammatory response)と呼ばれるプロセスにおいて抗炎症性の物質が放出されます。 こうした抗炎症性物質には不健康な低度慢性炎症を抑制する効果があります。

最近の研究で、体温を上げると炎症反応が増大することが示されています。 体温が急激に上昇すると一酸化窒素の生産量が増えるという研究もあります。 一酸化窒素は血流を促進して血流中のグルコース(糖)が全身に運ばれるのを助けてくれます。

研究の方法

運動習慣がない過体重(BMIが25kg/m以上~30kg/m未満)の男性10名を被験者とする試験で、60分間にわたり温浴(39℃の湯に首まで浸かった)した場合と27℃の室内で座って過ごした場合とで炎症マーカー・血糖値・インスリン値がどう異なるかを調べました。

次に、この10名に2週間にわたりほぼ毎日(計10回)温浴を行ってもらい、温浴を行わない別の8名(BMIは同程度)と比較しました。

結果

一度の温浴により、IL-6の血中濃度と一酸化窒素の生産量が増加しました。 ただし、熱ショックたんぱく質72(Hsp72)は増えていませんでした。 Hsp72は運動などの肉体的なストレスに反応して増加し、健康の維持に役立ちます。

2週間にわたり温浴を行った後には、空腹時血糖値とインスリン値が低下し、安静時における低度炎症が軽減されました。 また、細胞内Hsp72は温浴をしない場合とで差がありませんでしたが、細胞外Hsp72は減少していました。

実用性

男性たちは「お風呂に浸かるのがしんどい」と語りました。 湯の温度が高かったからかもしれませんし、60分という時間が長すぎたためかもしれません。
運動と同じような効果を得るには結局のところ、運動と同じぐらいしんどい目に遭わなくてはならないのでしょう。
したがって、60分間の温浴は楽しいものではなさそうです。 けれども、何らかの理由で身体活動を十分に行えない人にとっては、温浴が「運動が代謝面での健康にもたらす恩恵を得るための手段」となり得る可能性があります。