ホルモン補充療法による乳ガンのリスクは痩せた女性で顕著

(2013年9月) 更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法(HRT)は乳ガンのリスクが増加する原因となりますが、"Journal of the National Cancer Institute" に掲載されたシカゴ大学の研究によると、このリスクの増加量は、人種や、BMI 、乳房密度によって異なります。

研究の概要
この研究では、45歳以上の閉経後の女性165万人近くのデータを分析しました。 分析の主な結果は次の通りです:
  • 普通体重以下(BMI の数値が25未満)の女性では、HRT によって乳ガンのリスクが35%増加していましたが、肥満(BMI が30以上)の女性では HRT による乳ガンのリスク増加が認められませんでした。
  • 乳房密度が極度に高い女性では、HRT によって乳ガンのリスクが40%増加していました。
    乳房密度とは、乳房内の結合組織と腺組織に対する脂肪組織の割合のことで、脂肪組織が多いほど乳房密度は低くなります。 乳房密度が高いと乳房x線の画像が判別しにくくなります。 さらに、乳房密度が高いと乳ガン(エストロゲン受容体陽性タイプと陰性タイプの両方)のリスクも増加すると考えられています。
  • 白人とヒスパニックの女性では、HRT によって乳ガンのリスクが20%増加していましたが、黒人ではリスクの増加は見られませんでした。 (ソース記事には、アジア人女性についての記述はありませんでした)
ただし、今回の研究には、HRT のタイプ(エストロゲンのみか、エストロゲンとプロゲスチンの併用か)や、HRT の治療期間を考慮に入れていないなどの欠点があります。 研究者は次のように述べています:
「長期間にわたる HRT による乳ガンリスクの実際の増加幅は、特に(今回の研究で、HRT による乳ガンのリスク増加が顕著であるとされた)細身の女性や乳房密度の高い女性で、今回の結果よりも大きい可能性があります」
アジア系であることも HRT による乳ガンのリスク要因

ロイター通信のニュースでも、同じ研究によるものと思われる結果が報じられています。 こちらのニュースによると、乳房密度が高い人では HRT による乳ガンリスクが49%増加します。 そして、白人とヒスパニックだけでなくアジア系の女性でも HRT によって乳ガンのリスクが増加します。

それどころか、HRT による乳ガンリスクの増加がアジア系の女性で最も顕著で、HRT を受けていないアジア人女性と比べて、乳ガンのリスクが58%増加します。 ただし、この研究におけるアジア人女性の比率が3.2%と非常に少ないため、この結果の信頼性は限定的です。

こちらのニュース記事によると、この研究には、HRT の治療期間が考慮されていないという欠点以外に、乳房密度は時間の経過によって変化するのに一時点の乳房密度しか考慮していないという弱点があります。