ホルモン補充療法で緑内障のリスクが減少

(2014年2月) "JAMA Ophthalmology" に掲載されたミシガン大学研究によると、更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法(エストロゲンのみのもの)によって原発性開放隅角緑内障というタイプの緑内障になるリスクが減少する可能性があります。

緑内障とは

緑内障は、眼圧の上昇などによって網膜と視神経の損傷が数年をかけて進行し、視力が損なわれるという病気です。 緑内障による視力喪失は、視野の周辺あるいは横側から始まります。 放置していると視野欠損と呼ばれる状態になり、やがては失明に至ります。

現在の技術では緑内障で失われた視力は戻せないため、病気の進行を阻止するのが治療の目的となります。 緑内障は失明の原因として、白内障に次いで世界第二位です。

原発性開放隅角緑内障は眼圧の上昇が原因となるタイプの緑内障で、他のタイプの緑内障に比べて病気の進行は緩やかです。

研究の方法

この研究では、ホルモン補充療法を受けている50才以上の女性 152,000人のデータを調べました。 このうちエストロゲンのみのホルモン補充療法を受けていたのは6万人ほどで、残りの女性はエストロゲンとプロゲステロンあるいはエストロゲンとアンドロゲン(男性ホルモン)を用いたホルモン補充療法を受けていました。

結果

152,000人のうちの原発性開放隅角緑内障になったのは2%でした。 エストロゲンを補充する期間が一ヶ月延びるごとに、このタイプの緑内障になるリスクが0.4%減少していました。 このリスク減少効果は累積的で、エストロゲン補充療法を例えば4年間継続した女性では緑内障のリスクが19%減少すると考えられます。

解説

エストロゲンによって緑内障のリスクが下がる仕組みは不明ですが、エストロゲンが眼圧を下げる、あるいは眼の細胞を保護することによって緑内障のリスクを下げているのだと推測されます。

ただし専門家の話では、緑内障のリスク減少のみを目的としてエストロゲン補充療法を受けるのは妥当とは言えません。 ホルモン補充療法には乳ガンのリスクが増加するなどの副作用もあるためです。

今回の発見はむしろ、製薬会社が緑内障予防用のエストロゲン目薬を開発するうえでのヒントとなることが期待されます。