適切な湿度を維持してインフルエンザ・ウイルスを撃退

(2013年3月) 加湿器で湿度を上げるのがインフルエンザの予防に有効であることは既にご存知だと思いますが、"PLOS ONE" に掲載された米国の研究によると、室内の湿度(相対湿度)を43%以上にすることで、空気中に漂うウイルス粒子の86%を速やかに不活性化させられます。

研究の方法

患者役と介護役のマネキン機械と培養組織を用い、7~73%の湿度で実験を行いました。

結果

湿度が23%のときには、マネキンから放出されたウイルス粒子のうちインフルエンザ・ウイルスを伝染させたのが70~77%と高率であったのに対して、43%の湿度ではわずか14%でした。 また、高湿度によるウイルス不活性化は、大部分が15分以内に行われました。

解説

この結果から、実験環境でない現実の環境でもインフルエンザの不活性化が同様に行われることが確認されれば、病院内の湿度は40%以上を維持するのが良いということになります。

NYU Langone Medical Center に勤務し細菌学と病理学を専門とする研究者は次のように述べています:

「湿気は病原体の動きを妨げますし、そのメカニズムも十分明らかになっています。 サリンなどの化学物質も病原体と同じで、湿気とくっついて重くなり、地面に落ちたりします。 ですので、今回の研究結果は科学的には当然のことです。

人が不快感を感じる湿度は70%からなので、45%という湿度は決して高過ぎはしません。 むしろ問題は、ウイルスが活発になる冬季に45%の湿度を維持するのが大変だということの方です。 エアコンの乾燥した熱風のために、冬季の室内は(加湿をしなければ)湿度が20%以下にまで下がってしまいます。

患者を一箇所に集めてそこを強力な加湿器で加湿し、ドアの開閉もしないというのでない限り、45%という湿度を達成するのは難しいでしょう」

日本では冬に流行するインフルエンザが熱帯地域では雨季に流行する理由とは?」によると、ヒトの粘膜に取り付いたインフルエンザ・ウイルス(A型)は、湿度が50~90%ぐらいのときには、鼻の粘膜に入り込んでも死んでしまうことが多いそうです。

今回の研究はヒトの粘膜に取り付く前の話ですが、「日本では冬に流行するインフルエンザが...」の研究と併せれば、適切な湿度を維持するのが、ヒトの粘膜に取り付く前のインフルエンザ・ウイルスと取り付いた後のインフルエンザ・ウイルスの両方に対して有効だということになります。