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高気圧酸素治療が脳卒中のリハビリに効果

(2013年1月) "PLoS ONE" に掲載されたイスラエルの研究で、潜水病を治すための高気圧酸素治療が脳卒中の発作を起こした人の回復に有効だという結果になりました。

高気圧酸素治療

高気圧酸素治療では、患者を気圧の高い部屋に閉じ込めて酸素を部屋に送り込みます。 その結果、体内の酸素量が通常の10倍になり、傷んだ脳細胞が回復します。

研究者によると、高濃度の酸素により傷んではいるけれど破壊されてはいない神経細胞(脳細胞)が再活性化して他の神経細胞と再接続し、健康な脳機能を維持するのに必要な信号を発火するようになります。

米国において高気圧酸素治療は現在、潜水病、傷の治癒、一酸化炭素中毒、皮膚移植、火傷などへの使用が認可されています。 日本での使用例は Wikipedia に詳しく載っています。 脳塞栓や脳血管障害も高気圧酸素治療の適用疾患に含まれています。

高気圧酸素治療はこれまで、脳卒中の発作を起こしたばかりの患者への利用は研究されてきましたが、慢性後期(late-chronic phase)の患者への利用については、今回の研究が初めてです。

研究の方法

この研究では、虚血性または出血性の脳卒中を起こしたのち6~36ヶ月が経過していて、他のリハビリによる症状の改善が一ヶ月以上見られないという患者59人を被験者とする試験を行いました。

被験者を2つのグループに分けて、一方のグループには高気圧酸素治療(一回90分)を週に5日、2ヶ月間にわたって受けてもらい、もう一方のグループには2ヶ月間なんの治療も受けずに過ごしてもらった後に高気圧酸素治療を開始してもらいました。
両方のグループに高気圧酸素治療と無治療で2ヶ月間ずつ過ごしてもらった(クロスオーバー試験)ということでしょう。
結果

高気圧酸素治療の前後に撮った脳の画像から、高気圧酸素治療の完了後に脳の活動が改善していることがわかりました。 また、一部の患者で著しい機能の改善が見られました。 その一方で、数人の患者ではあまり改善が見られませんでした。

具体例
  • 1年前に脳卒中の発作を起こして以来、独力では入浴も着替えも階段を上ることもできなかった61歳の男性は、入浴と着替えが出来るようになっただけでなく、買い物や料理まで1人で出来るようになりました。
  • 14ヶ月前に脳卒中の発作を起こした62歳の女性のケースでは、言語能力と歩行能力を取り戻し、独力で階段を上ったり、座って食事をしたりできるようになりました。 この女性は、脳卒中の発作が起きる前から、これらの動作を1人では出来ていなかったそうです。
副作用

副作用は限定的で、6%の人が高気圧による耳のトラブルを訴えたのと、癲癇(てんかん)の病歴のある二名に軽度のひきつけが起こっただけでした。

効果の持続期間
高気圧酸素装置による治療から二年を経ても、治療効果は残っていました。 この点に関して研究者は「脳の痛んだ部分がいったん再活性化されると、発作が再び起きでもしない限り、活性化された状態が維持されます」と述べています。
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