酸素濃度を高めてT細胞を活性化させガンを退治

(2015年3月) "Science Translational Medicine" 誌に掲載されたノースイースタン大学(米国)の研究によると、酸素によって免疫細胞を活性かさせてガン細胞退治に役立てることが出来るかもしれません。

ガン腫瘍と低酸素

免疫系は、異常な細胞がガン腫瘍へと成長する前にこれを探知して破壊しようとしますが、いったん腫瘍として根付いてしまったガン細胞は、組織への血液供給を上回るペースで成長して低酸素環境を作り出すことによって免疫系による攻撃を遮断します。

低酸素状態においてガン細胞はアデノシンと呼ばれる分子の生産量を増加します。 アデノシンには周辺に存在するT細胞とNK細胞(どちらもガン細胞を退治する免疫細胞)を眠らせる作用があります。

このアデノシンの作用を遮断する薬の開発が進められていますが、今回の研究では低酸素状態にある腫瘍組織に酸素を供給してやることでアデノシンの作用を無効化することを試みました。

研究の方法
この研究では、異なる種類の肺ガンに罹っているマウスたちを酸素補充療法に用いられる酸素室を模したケースで飼育するという実験を行いました。 大気中に含まれる酸素の濃度は21%ですが、酸素補充療法では40~60%の酸素濃度を用います。
おそらく、マウスたちを2つのグループに分けて、一方のみを酸素濃度の高いケースで飼育し、もう一方は普通の酸素濃度のケースで飼育した。
結果
酸素濃度の高いケースで飼育したグループでは腫瘍が縮小していました。 T細胞を注射するという免疫療法と組み合わせるのが特に有効でした。 遺伝子改造によりT細胞が欠如しているマウスでは、高酸素ケースの効果が見られませんでした(このことから、高酸素環境がT細胞を介して腫瘍を縮小させるのだと考えられます)。