(2018年8月) "Nutrients" 誌に掲載された中国の研究で、食物繊維の摂取量と高血圧の有無との関係が調査されています。
研究の方法
2007~2014年にかけて18才以上の男女1万8千人超を対象に食生活の調査と血圧測定を実施した米国のデータを分析しました(クロス・セクショナル研究)。
高血圧の定義
収縮期(最高)血圧が130mmHg以上または拡張期(最低)血圧が80mmHg以上の場合を高血圧とみなしました。
結果
各種の食物繊維の摂取量が最高のグループは最低のグループに比べて、次のように高血圧のリスク(オッズ比)が低下していました:- 種類問わず: -38%
- 穀類由来: -20%
- 野菜由来: -18%
- 果物由来: -14%(*)
(*) 統計学的な有意性に問題があった(95%CIが0.71~1.04)。
過去に行われた2つの研究(いずれも前向きコホート)では、果物由来の食物繊維の摂取量が多いと高血圧のリスクが低いことが示されている。
今回の研究でも、カロリー摂取量・人種・BMI・世帯収入・喫煙習慣・教育水準を考慮せず年齢と性別だけを考慮した分析では統計学的に有意だった。
グラフの形
食物繊維トータル
食物繊維(種類を問わない)の摂取量が増えるほどに高血圧のリスクが下がっていたものの、摂取量が体重1kgあたり0.35g/日に達する辺り(リスク低下幅は-53%)でリスクの降下がストップしていました。穀類由来・野菜由来
穀類や野菜に由来する食物繊維では、摂取量が増えるほどに高血圧のリスクが下がるという右肩下がりのグラフとなりました。
研究グループによると、高血圧予防に意味があると言える程度のリスク低下を期待するのであれば、穀類由来の食物繊維は体重1kgあたり0.016g/日以上を、そして野菜由来の食物繊維は体重1kgあたり0.052g/日以上を摂る必要があります。