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高血圧の人は体を動かすことが多いと死亡リスクが低い

(2017年11月) "Journal of Hypertension" に掲載された中国の研究で、高血圧の人は身体活動の習慣があると運動の激しさにかかわらず死亡リスクが低いという結果になっています。

研究の方法

中国在住で高血圧を抱えている30~79才の男女15万人超(*)の身体活動習慣を調べたのち7年間前後にわたり生存状況を追跡調査しました。
(*) 心臓病・脳卒中・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・ガンを患っている者は除外された。

そして身体活動量に応じて4つのグループに分け、グループ間で死亡リスクを比較しました。

結果

追跡期間中に1万人ほど(男性 5,332人、女性4,384人)が死亡しました。

身体活動量が最少のグループに比べて、身体活動量がそれよりも多い3つのグループでは死亡リスク(死因は問わない)が次のように低下していました:
  • 身体活動量が最大のグループ: -33%
  • 身体活動量が上から2番めのグループ: -31%
  • 身体活動量が上から3番めのグループ: -20%

心臓病や脳卒中で死亡するリスクに限っても、身体活動量が多いとリスクが低下していました。

身体活動の種類

肉体労働でもリスク低下

余暇に行う身体活動(スポーツやトレーニング)だけでなく仕事に伴う身体活動や家事で発生する身体活動の量が多い場合にも死亡リスクが低下していました。 「仕事に伴う身体活動」とはいわゆる肉体労働のことです。 これまでの研究に、余暇に行う運動と違って肉体労働は心臓病のリスクが増加するとか高血圧予防に効果が無いという結果になったものがあります。

通勤で体を動かすとリスク増加

通勤に伴う身体活動量が多い場合には死亡リスクが8%増加していました。 住んでいる地域が都会であっても田舎であっても、通勤に伴う身体活動量が多い死亡リスクが増加していました。

これまでの研究では、自転車や徒歩で通勤する人は心臓病や脳卒中になったり早死にしたりするリスクが低いことが示されているので、今回の結果は従来のものと異なるということになります。 研究チームによると自転車や徒歩で通勤する人の死亡リスクが高かったのは大気汚染の影響かもしれませんが、2016年に発表されたケンブリッジ大学の研究では、大気汚染が懸念される都会であっても自動車の代わりに自転車や徒歩で通勤することによる健康効果が大気汚染による健康への悪影響を上回るという結論になっています。

身体活動の量

身体活動量が最少のグループの身体活動量は、男性で5MET時間/日、女性で7MET時間/日でした。 身体活動量が最大のグループの身体活動量は、男性で40MET時間/日、女性で38MET時間/日でした。

男女を問わず身体活動量の大部分が仕事や家事に伴う身体活動でした。 「仕事に伴う身体活動量+家事に伴う身体活動量/トータルの身体活動量」は次のようなものでした:
  • 身体活動量が最少の男性: 5/5MET時間/日
  • 身体活動量が最少の女性: 10/7MET時間/日(*)
  • 身体活動量が最大の男性: 37/40MET時間/日
  • 身体活動量が最大の女性: 35/38MET時間/日
(*) なぜかトータルの身体活動量よりも、仕事に伴う身体活動量と家事に伴う身体活動量の合計のほうが大きい。 一部の身体活動がが仕事に伴う身体活動量と家事に伴う身体活動量の両方にカウントされている?

METとは

MET」とは「Metabolic Equivalent of Task(身体活動による消費カロリー)」のことです。 「MET時間」は「MET×経過時間」で計算し、例えば3METの運動を2時間続ける(3MET×2時間)と6MET時間の運動量となります。

身体活動が激しいほどMETの値は大きくなります。 例えば「睡眠」のMETは0.9で「テレビ視聴」のMETは1.0ですが、ジョギングのMETは7.0で縄跳びのMETは10.0です。