初期の乳ガンでは少分割放射線療法で副作用が減る

(2013年9月) "The Lancet Oncology" 誌に掲載された英国の研究によると、初期の乳ガン患者の場合には、3週間にわたる高用量の放射線照射(少分割放射線療法)が、現在のスタンダードである5週間の低用量の照射と同程度に有効であるうえに、健康な組織への悪影響が少なくて済みます。 さらにコストも安くて済みます。

研究者は次のように述べています:

「大部分のケースにおいて、初期の乳ガンの患者が保存手術あるいは乳房切除術を受けた後には3週間の(高用量の)放射線治療を受けるのが良いと思われます。

3週間の放射線治療の方が(5週間の治療よりも)健康な組織への負担が少ないうえに、ガン細胞に対する効果は変わらないのです」
ただし、ニューヨーク市の Lenox Hill Hospital に勤務する外科的腫瘍学の医師によると、今回の研究結果により直ちに5週間の照射という現在の慣行が変わるということも無さそうです:

「(3週間の)短期照射は優れた選択肢なので、最終的には長期的な照射に取って代わるでしょうけれど、米国の腫瘍医(ガンの治療を専門とする医師)に受け入れられるには、米国で行われる複数の研究によって短期照射の効果が確認される必要があると思います。

短期照射が慣行になるまでには医師の慣れも必要ですが、米国でも既に短期照射に移行している病院がありますし、短期照射を行うケースが徐々に増えてくるのではないでしょうか」

英国では、3週間の短期照射をスタンダードとして採用している病院が大勢を占めているため、この研究は英国の病院にとっては現在のスタンダードを裏付けるという位置づけです。

研究の方法

今回の研究では、1999~2002年に実施された2つの臨床試験(START A と START B)の結果を10年間にわたって追跡調査しました。 調査の対象となった女性は、START A と START B の合計で 4,451人でした。

START A では、国際的なスタンダードの放射線治療(5週間にわたって 50 Gy の放射線を25回に分けて照射する)を受けたグループと、41.6 Gy または 39 Gy の放射線照射量を13回に分けて5週間にわたって受けた2つのグループを比較しました。

START B では、国際的なスタンダードの放射線治療を受けたグループと、40 Gy の放射線照射量を15回に分けて(一回あたり 2.67 Gy)3週間にわたって受けたグループを比較しました。

結果

10年間の追跡期間の後、START A では、3つののグループにおけるガンの再発率は6.3~8.8%であり、放射線用量による違いはほとんどありませんでした。 41.6 Gy のグループと、50 Gyのグループとでは、健康な組織へのダメージに有意な差は見られませんでしたが、39 Gy のグループでは、乳房硬結や、毛細血管拡張(血管が拡張したまま元に戻らなくなった状態のことで、皮膚や粘膜で発赤を引き起こす)、乳房に生じる浮腫が有意に減少していました。

START B でも、ガンの再発率に関しては両グループで大差が無かった(4.3~5.5%)のですが、健康な組織へのダメージ(乳房の縮小、毛細血管拡張、浮腫)に有意な差がありました。

これらの結果は、年齢・腫瘍のグレード・腫瘍の悪性度(腫瘍の増殖と転移の速さ)・化学療法の有無・腫瘍床ブースト照射の有無・追加の放射線治療の有無を考慮したのちのものです。