炎症性腸疾患(IBD)の非薬物的療法 (レビュー)

(2018年8月) サスカチュワン大学(カナダ)の研究グループがクローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患(IBD)の非薬物的療法についてまとめたレビューを "World Journal of Gastroenterology" に発表しています。

レビューの概要

成人IBD患者を対象に食生活・身体活動/運動・心理療法の効果を調べた67の研究(2016年9月までに発表されたもの)に目を通して以下の見解に至りました:

  1. 食生活: IBD患者には野菜・果物・水溶性食物繊維が有益かもしれない。 機能性胃腸症状(膨満感・腹痛・水っぽい下痢が治まらない)がある患者は低FODMAP食の導入を検討してもよいだろう。 乳製品は、体質的に乳糖を受け付けないのでもない限り食生活から完全に排除してしまう必要はない。

  2. 身体活動/運動: 低~中強度の身体活動(有酸素運動や筋力トレーニング)の習慣によりIBD患者の生活の質(QOL)が向上したり炎症が改善したりすることが示されている。
  3. 心理療法: 認知行動療法・マインドフルネス・催眠・ストレス管理などがIBD患者のQOLの改善に有効であることが示されているが、不安感・抑鬱・IBDの疾患活動性に対する効果に関してはデータが限定的である。

食物繊維に関する補足

上記は基本的にレビューの論文要旨(Abstract)に基づいていますが、論文の本文には食物繊維に関して次のような記述があります:
「IBD患者は『胃腸管閉塞のリスクがある』という理由で食物繊維を控える(10~15g/日未満とする)ことを推奨されるが、食物繊維を控えるのがIBD患者にとって有害であるというデータは欠如している」

レビューで挙げられている研究を見ると、食物繊維は有益であるか少なくとも有害ではないという結果になっています。

ただし、研究グループは次のようにも述べています:
「閉塞を伴う線維性狭窄(fibrostenotic stricture)が生じている患者は、アブラナ科の野菜(*)・果物の皮・ナッツ類・シード(種)類を避けるべきである」
(*) ブロッコリー/カリフラワー/キャベツ/青梗菜/ケールなど。