宗教の違いにより戦争やテロが生じるのは信者として未熟だから

(2016年1月) "Proceedings of the National Academy of Sciences" に掲載されたカーネギー・メロン大学などの研究によると、宗教の違いにより戦争やテロなどの争いが生じるのは信者として未熟であるからです。出典: Religious Beliefs Don’t Always Lead to Violence

研究の方法
12~18才のパレスチナ人(*)の青少年555人に、「トロッコのジレンマ」と呼ばれる倫理学上の論題を尋ねました。
(*) パレスチナ地方に住みイスラム教を信仰するアラブ人を指す。
トロッコのジレンマとは、トロッコの進路の切り替えによって1人の命と5人の命のどちらかを犠牲にしなくてはならない状況で人は倫理的にどうすべきなのかを尋ねる問題です。 今回の研究では、次の2つの選択を迫られた状況において①自分ならどうするか、および②イスラム教の神であるアラーであればどうするかを尋ねました:
  • 1人のパレスチナ人とイスラエル人(*)の子供5人のどちらを助けるべきか?
  • 1人のパレスチナ人とパレスチナ人の子供5人のどちらを助けるべきか?
(*) イスラエル人はユダヤ教徒であるうえに、領土問題でパレスチナ人と抗争中。
結果

パレスチナ人である被験者たちは、ユダヤ教徒であるイスラエル人の命よりもパレスチナ人の命を助ける方を選択しました。

その一方で被験者たちは、アラーの神であればイスラエル人の命とパレスチナ人の命を等しく扱うはずであると考えており、アラー神の視点で回答した場合には自分と同じ民族であるパレスチナ人の命を優先しようとするバイアス(偏り)が30%ほど減少していました。

コメント
研究者は次のように述べています:

「今回の結果は重要です。 というのも、暴力が発生する条件の1つが 『他集団の命は自集団の命よりも軽い』 という認識であるからです」

「今回の研究では、宗教の違いが主因となる紛争のまっただ中にある地域にあってさえも、普遍的な道徳的原則を信者と非信者の分け隔てなく適用できるように信心が人々を導いてくれることが示されました」
別の研究者は次のように述べています:

「今回の研究では信心によって他の宗教を信じる集団との協調性が改善されるという結果になりましたが、宗教は他の集団に対する攻撃性を誘引する何らかの要因も備えている可能性があります」

「例えば、紛争地域で行われた別の研究では、宗教的な集会に参加したり礼拝所を頻繁に訪れたりする人は(問題の解決法として)暴力を使用することを支持することが多いという結果になっています」