お香の煙はタバコの煙よりも有害かもしれない

(2015年8月) "Environmental Chemistry Letters" 誌に掲載された华南理工大学(中国)など(*)の研究によると、線香などのお香の煙はタバコの煙よりも有害かもしれません。
(*) もう1つの研究機関は China Tobacco Guangdong Industrial Company というタバコのメーカーです。 今回の研究から「お香の煙よりはタバコの方が安全だ」と主張するつもりでもないと思いますが...
お香の煙の有害性

お香はこれまで大気汚染の原因としてはあまり研究されていませんが、お香により肺ガン・小児白血病・脳腫瘍のリスクが増加する可能性が指摘されています。 また、お香の燃焼中に空気中へと放出された微粒子を吸い込むと、微粒子が肺に留まって炎症反応を引き起こすことが知られています。

今回の研究

今回の研究では2種類のお香の煙の有害性を調べる実験を行いました。 いずれのお香も成分として沈香と白檀(サンダルウッド)を含んでいました。 沈香と白檀はどちらも、お香の成分として最も一般的です。

実験に用いられたのは試験用のサルモネラ菌(Salmonella tester strains)とCHO細胞(チャイニーズ・ハムスターの卵巣細胞)でした。

結果

お香の煙に変異原性が認められました。 つまり、DNAなどの遺伝物質に突然変異を引き起こしてガンなどの原因になる可能性があるというわけです。 さらに細胞毒性と遺伝毒性に関してはタバコの煙よりも強力でした。 細胞毒性と遺伝毒性もガンの発生に関与しています。

また、今回サンプルとして用いられたお香の煙からは64種類の化合物が検出されました。 64種類の中には刺激物質や低毒性(僅かに有害な)物質だけでなく非常に有毒な物質も含まれていました。

お香の煙の99%が超微粒子(*)と微粒子(†)で構成されていたことからも、お香の煙は健康にとって有害だと思われます。

(*) Wilipedia(英語版)によると、超微粒子(ultrafine particles)とは直径が100ナノメートル未満の物質でPM2.5よりも小さく、肺に沈着するだけでなく血流中にまで入り込みます。 超微粒子そのものの毒性が低い場合にも酸化ストレスと炎症を引き起こして心臓疾患・肺疾患・高血圧などのリスク要因となる可能性があります。

(†) Wikipedia(英語版)によると、微粒子(fine particles)は粒子状物質(particulate matter)と同じ意味。
留意点
今回の研究のみから、お香の煙がタバコの煙よりも有害だと断定することは出来ません。 その理由は次の3点です:
  • 実験でサンプルとして使用したお香の煙の数が4つと少なかった。
  • 市販されているお香には様々なものがある。
  • お香とタバコとでは使い方が異なる(タバコの煙は意図的に吸引するが、お香の煙はそうではない)。