誘発分娩で帝王切開のリスクが低下する?

(2014年4月) 現在のところ、誘発分娩によって帝王切開が必要となるリスクが増加するというのが一般的な認識ですが、Queen Mary University of London の研究チームが行ったレビューにおいて、誘発分娩によって帝王切開のリスクが「様子を見てみる」場合に比べて12%減少するという結果になりました。

この研究で、これまでに行われた157の研究のデータ(出産件数は合計で3万件以上)を分析したところ、満期産または過期産においては誘発分娩によって帝王切開のリスクが12%減少していたのです。 早産では、このリスク減少は見られませんでした。

結果の詳細
他の主な結果は次の通りです:
  • 誘発分娩による帝王切開リスクの低下は、高リスクの妊娠と低リスクの妊娠の両方において見られた。
  • 誘発分娩によって胎児死亡および母親における合併症のリスクも減少していた。
  • 誘発分娩にプロスタグランジンE2(米国や、カナダ、英国で誘発分娩に一般的に用いられる薬)を使用した場合に帝王切開のリスクが減少していた。
  • 一方、誘発分娩にオキシトシン(陣痛促進に用いられるホルモン剤)や羊膜切開術(人工破水)を用いた場合には帝王切開のリスクが減少してなかった。
解説

誘発分娩は全出産の約20%において用いられていますが、その理由は様々です。 過去の研究にも誘発分娩で帝王切開リスクが減少することを示したものがありますが、現在のところ、誘発分娩で帝王切開リスクが増加するという認識が一般的です。

研究チームは「今回の研究結果は誘発分娩と帝王切開リスクとの関係に関して、しっかりとした答えを提示している」と結論付けています。

専門家のコメント
The Mount Sinai Hospital の母子内科の責任者である Joanne Stone 博士は今回の研究に対して非常に肯定的です:

「これまでの研究のうち誘発分娩を行った女性では帝王切開リスクが高いという結果になったものの大部分では、誘発分娩を行った女性を自然出産を行った女性と比較していますが、このような研究で誘発分娩を行った女性は様々なリスク要因を抱えていました」

「これに対して、今回の研究では、胎児のサイズや誘発分娩を行う時期(time of gestation)などのリスク条件が同程度の女性たちの間で、誘発分娩の帝王切開リスクへの影響を比較しています」
一方、Staten Island University Hospital の母子内科の副責任者を務める Catherine Herway 博士は今回の研究には欠陥があると指摘しています:
「今回の研究の有効性は疑問です。 妊婦たちの置かれていた環境が異なりすぎる可能性があるためです。 今回の研究のベースとなった研究群は 1975~2010年に行われたものです(時代的に幅広すぎる?)し、妊娠期間も37~42週です(バラつきがある?)。 さらに、誘発分娩をするしかなかった(medically indicated)ケースと、選択的に行われたケースが混在しています。 したがって、今回の結果を鵜呑みにすることはできません」