大腸ガンのリスクがトマトで増加し、ビール・ワイン・ピザ・スナックで低下する?

(2018年1月) "JAMA Oncology" に掲載されたハーバード大学などによる研究で、炎症を促進する食生活を送っている人は大腸ガンになりやすいという結果となりました。

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症が持続する慢性的な炎症は健康にとってマイナスです。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓疾患・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食生活も慢性炎症に大きく影響します。

研究の方法

米国に住む男女12万人超(男性4万7千人、女性7万4千人)の食生活を4年ごとにアンケートで調べつつ、26年間にわたり大腸ガンの発生状況を追跡調査しました。

EDIP

食生活の炎症度の把握にはEDIP(Empirical Dietary Inflammatory Pattern)という尺度を用いました。 EDIPのスコアが低いほど食生活の炎症度が低いとみなされます。 EDIPは今回と同じ研究者が考案した尺度で、2016年に "Journal of Nutrition" に発表されました。

EDIPスコアが上がる(炎症を促進する)食品は次の通りです:

加工肉・赤身肉・内臓肉・魚肉(背の青い魚(*)を除く)・淡色野菜・トマト・精白穀物・糖類や人工甘味料を含有する清涼飲料水

(*) "dark-meat fish" を訳したもの。 "dark-meat fish" の正式な定義は不明ですが、イワシ・サバ・メカジキ・サーモンを "dark-meat fish" の例として挙げている研究があります。

EDIPスコアが下げる(炎症を促進する)食品は次の通りです:

ビール・ワイン・茶・コーヒー・赤色や黄色の根菜(サツマイモを含む)・色の濃い葉野菜・間食(スナック)・100%果汁のジュース・ピザ

トマトでEDIPスコアが上がるのにトマトソースが使われるピザでEDIPスコアが下がる理由として研究チームは「トマトを加熱調理したトマトソースのほうがリコピンの利用効率が高いからではないか」と述べています。 スナックに関しては説明が無いので詳細不明です。

結果

追跡期間中に 2,699人が大腸ガンになりました。

EDIPスコアに応じてデータを5つのグループに分けて比較したところ、スコアが最高のグループは最低のグループに比べて大腸ガンになるリスクが32%増加していました。 男女別ではこの数字は、男性で44%、女性で22%でした。

EDIPスコアが高いと大腸ガンになりやすいという関係は、お酒を飲む習慣がない男性(62%のリスク増加)と肥満の男性(48%のリスク増加)で顕著でした。 女性でもお酒を飲む習慣がない場合や肥満している場合にリスクの増加幅は大きかった(33%と31%)のですが、統計学的な有意性に欠けていました。