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炎症を促進する食生活は精神衛生に良くない?

(2017年3月) 鬱病の病理に炎症が関与しているという仮説がありますが、"Preventive Medicine" 誌に掲載されたウィスコンシン大学マディソン校の研究で、食生活が炎症を促進するタイプのものである人は抑鬱や精神的苦悩が生じることが多いという結果になっています。

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症が持続する慢性的な炎症は体にとって有害です。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓疾患・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。

食生活の炎症度と健康

食生活の炎症度とは、普段の食事に含まれ炎症に影響する各種成分がトータルで炎症を促進するか、それとも抑制するかということです。 サウス・カロライナ大学の研究では、食生活の炎症度を判定するのに食事炎症指数(DII)という尺度が用いられます。

これまでの類似研究で、食生活の炎症度が高い人は大腸ガン・乳ガン・膀胱ガン・胃ガン・喉咽頭ガン・腎臓ガン・早死に・骨折のリスクが高いことが示されています。

今回の研究
研究の方法

米国に住む20才以上の男女1万1千人超のDIIと抑鬱・不安感・精神的苦悩の状況を調べました。 そしてDIIのスコアに応じてデータ全体を5つのグループに分けて、DIIスコアと抑鬱・不安感との関係を調べました。

結果

DIIスコアが最も高かった(炎症を促進する食生活だった)グループは、スコアが最も低かったグループに比べて抑鬱のリスク(オッズ比)が2.26倍、精神的苦悩が頻繁に生じるリスクが1.81倍でした。

不安感とDIIスコアとの間には統計学的に有意な関係が見られませんでした。

関連研究

"British Journal of Nutrition"(2016年)に掲載されたオーストラリアの研究でも、平均年齢50才超の女性6千5百人ほどのデータを分析して、DIIスコアが高いと鬱病(CES-D10に基づく)のリスクが20%ほど高いという結果になっています。

"Journal of Nutrition"(2017年)に掲載されたフランスの研究では、35~60才の男女 3,523人を平均12.6年間にわたり追跡調査したデータを分析して、喫煙歴(現在または過去)がある場合や運動不足の場合に限り、DIIスコアが高いと抑鬱のリスクが高いという結果になっています。 DIIスコアに応じてデータを4つのグループに分けてスコアが最高のグループと最低のグループを比較したところ、喫煙歴がある場合にはDIIスコアが最高のグループで121%のリスク増加、運動不足の場合にはDIIスコアが最高のグループで107%のリスク増加でした。

"Archive of Iranian Medicine"(2017年)に掲載されたイランの研究では、15~18才の女の子299人のデータを分析して、DIIスコアが高いと精神的ストレスを抱えるリスクが3倍以上であるという結果になっています。

他にも次のような結果になった研究が存在します:
  • 野菜・果物の摂取量が多いと精神的苦悩が少ない。
  • 野菜・果物の摂取量が多いと幸福感を感じることが多い。
  • フラボノイド(野菜・果物に含まれている)の摂取量が多いと鬱病のリスクが低い。
  • ハンバーガーやピザなどのファーストフード(炎症を促進する)をよく食べる人は鬱病のリスクが高い。
  • 食生活が不健全(炎症を促進する炭水化物や飽和脂肪などの摂取量が多く、ビタミン類・ミネラル類・フラボノイド類など炎症を軽減する栄養素の摂取量が少ない)な人は抑鬱の症状が生じやすい。