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炎症を促進するタイプの食生活を送っていると太りやすい

(2017年5月) "Obesity" 誌に掲載されたナバーラ大学(スペイン)などの研究で、炎症を促進するタイプの食生活を送っている人は太りやすいという結果になりました。

炎症について

炎症は病原体や有害物質に対して免疫系が引き起こす自然免疫反応の一部で、傷の治癒を促進したり病原菌を抑制したりするのに役立ちます。

しかし、炎症は健全な組織まで傷つけてしまうので、感染症や怪我などが生じていないときにも炎症が持続する慢性的な炎症は体にとって有害です。 慢性的な炎症はガン・糖尿病・心臓病・リウマチ・抑鬱・アルツハイマー病など様々な病気の一因になると考えられています。

慢性炎症の原因となるのは、体内から排除されずに残っている病原体・有害物質・免疫系の異常・運動不足・肥満・遺伝的体質・加齢などですが、食事内容も慢性炎症に大きく影響します。

食生活の炎症度と健康

食生活の炎症度とは、普段の食事に含まれ炎症に影響する各種成分がトータルで炎症を促進するか、それとも抑制するかということです。 サウス・カロライナ大学の研究では、食生活の炎症度を判定するのに食事炎症指数(DII)という尺度が用いられます。

これまでの類似研究で、食生活の炎症度が高い人は大腸ガン・乳ガン・膀胱ガン・胃ガン・喉咽頭ガン・腎臓ガン・心臓発作・早死に・骨折・抑鬱・精神的苦悩のリスクが高いことが示されています。

研究の方法

肥満ではないスペイン人男女 7,027人を対象に食生活に関するアンケート調査を行い、アンケート結果からDIIを算出しました。 そして、その後8.1年間(中央値)にわたり体重の変化を追跡調査しました。

結果

追跡期間中に 1,433人が過体重(*)または肥満になりました。
(*) 過体重(overweight)とは、WHO(世界保健機関)が定める BMIのカテゴリーの1つで、日本の分類で言えば1度の肥満に当たります。

DIIのスコアに応じて4つのグループに分けた中でスコアが最も高かった(食生活が最も炎症促進タイプだった)グループはスコアが最も低かったグループに比べて、肥満になるリスクが32%高くなっていました。 DIIスコアが高いほど肥満のリスクが高いという関係も見られました。

解説

研究チームによると、炎症を促進する食生活により肥満のリスクが増加する理由として、以下が考えられます:
  • IL-6などの炎症性サイトカインにより体重が増えやすくなるのかもしれない(動物実験に基づく仮説)。
  • IL-6やIL-1、TNF-αなどの炎症性サイトカインにより食欲が増加し、それによって食事量が増えて太るのかもしれない。
  • 炎症プロセスに関与している肥満シグナル(*)が末梢交感神経系を慢性的に刺激するためにβアドレナリン受容体(†)の感度が低下し、それによって体重の増加が促進される。

    (*) 体脂肪の量に応じて脂肪組織や膵臓から分泌され、血流により脳へと運ばれてシグナルを伝達しエネルギーの摂取や消費を左右する物質のこと。 レプチンや、インスリン、IL-6などのホルモンやサイトカインがこれに当たる。

    (†) βアドレナリン受容体の機能の1つに、脂肪組織のリポリシス(脂肪分解)というものがある。
  • 視床下部における炎症が体重のコントロールに関与している可能性があるが、高脂肪の食事が視床下部の炎症を引き起こして肥満を引き起こしているのかもしれない。
研究チームは「食生活が引き起こす腸内細菌の種類構成に変化により低レベルの炎症が生じ、それによって肥満が促進される」という可能性も挙げているほか、「肥満と炎症の関係は双方向性であると考えられている」とも述べています。 これまでの研究で、肥満者に慢性炎症が生じやすいことが知られています。 肥満により生じる炎症が糖尿病やガンのリスクを増加させるのではないかとも考えられています。
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