インフルエンザの予防接種で脳卒中まで予防できる?

(2015年10月) "Vaccine" 誌に掲載されたリンカーン大学(英国)の研究で、インフルエンザの予防接種を受けてから最大で2ヶ月間は脳卒中のリスクが低下するという結果になりました。

研究の方法

1万8千人分のデータを用いて自己対照ケース・シリーズと呼ばれる手法により、インフルエンザの予防接種を受けてから180日間のうちに発生した脳卒中の件数と予防接種の影響を受けていない時期に発生した脳卒中の件数とを比較しました。

データに含まれていたのは、18才以上で 2001~2009年のうちに初めて脳卒中を起こしたという男女でした(女性の方がわずかに人数が多かった)。

結果
インフルエンザの予防接種を受けてからの59日間は他の期間に比べて、脳卒中になるリスクが20%ほど減っていました。 1週間単位での脳卒中発生件数の減少率は次の通り:

予防接種から何週目か 脳卒中の発生件数
1週目 -36%
2週目 -30%
3~4週目 -24%
5週目~59日目 -17%

インフルエンザのシーズンの最初の頃に予防接種を受けた場合の方が脳卒中リスクの低下幅が大きくなっていました。

解説
心血管疾患(心臓病や脳卒中)の中にインフルエンザが引き金となるものがあることから、予防接種によりインフルエンザにかからなくなるために脳卒中のリスクが低下しているのかもしれません。 インフルエンザに対する抗体産生反応は4~6ヶ月間続きます(*)
(*) 抗体産生反応が続いている間は脳卒中リスク増加の可能性があるということでしょうか。 2012年の研究に、インフルエンザではありませんが5つの病原体に対する抗体の量と脳卒中のリスクとの関係が調査したものがあります(脳卒中リスクは増えないという結果になっていますが)。
今回の結果は臨床試験で確認する必要があります。