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日本では冬に流行するインフルエンザが熱帯地域では雨季に流行する理由とは?

(2013年4月) インフルエンザは温帯地域では冬に流行し、熱帯地域では雨季に流行する傾向にあります。 日本で冬にインフルエンザが流行するのは湿度が低いからだと一般的には考えられていますが、熱帯地域では乾季よりも湿度が高いはずの雨季にインフルエンザが流行するとはどういうことなのでしょうか?

"Journal of the Royal Society Interface" に掲載された米国の研究により、この謎の解明が進みました。 湿度が100%に近いか、あるいは50%未満のときに、ヒトの粘膜に取り付いたA型インフルエンザ・ウイルスの生存率が最も高くなるというのです。
つまり、ほどほどの湿度(50~90%ぐらい?)のときには、インフルエンザ・ウイルスがヒトの鼻の粘膜に入り込んでも死んでしまうことが多く、日本の夏や熱帯地域の乾季は、ほどほどの湿度だからインフルエンザが流行しないということなのでしょう。 日本でも梅雨の時期には湿度が100%近くになりますけど。
研究の内容

この研究では、気道液の成分に似せた液体と実物のヒト粘膜を用いた実験で、インフルエンザ・ウイルスの生存率を調べました。

実験の結果、低い湿度では気道液は完全に蒸発してしまい、乾いた環境でインフルエンザ・ウイルスは高率で生存しましたが、ほどほどの湿度では気道液は全ては蒸発してしまわないため、インフルエンザ・ウイルスが、気道液に含まれる高濃度の(水分が蒸発したから濃度が高くなる)化学物質に暴露されて、細胞に感染する能力を失ってしまいました。

また、湿度が極めて高い場合にも、インフルエンザ・ウイルスの生存率が高いという結果になりましたが、これは高湿度のために気道液が全く蒸発せず、気道液に含まれる塩やタンパク質(これらに殺菌作用があるのでしょう)などの濃度が高くならないためだと考えられます。

つまり、気道液は(湿度が低すぎて)乾燥して無くなってしまってもいけないし、(湿度が高すぎて)分泌後にまったく蒸発しないのであっても殺菌成分の濃度が薄すぎて殺菌効果が低いということでしょうか。

乾燥する時期にマスクをするというのは、気道液の乾燥を防ぐという観点からも有効ですね。