早死にの予防にはWHO推奨基準の1/7の運動量で十分?

(2017年1月) "JAMA Internal Medicine" に掲載されたシドニー大学の研究によると、早死にの予防という観点からは、WHOが推奨する運動量よりも遙かに少ない運動量で十分かもしれません。

まったく運動をしない場合に比べて、少しだけ運動をする場合であってもガイドラインで推奨される量の運動を行う場合と同程度に死亡リスクが低下していたのです。

WHOが推奨する運動量
WHOが推奨する運動量は、中強度の有酸素運動(*)を150分/週、または高強度の有酸素運動を75分/週というものです(中強度と高強度を組み合わせて同程度の運動量を達成するのでもOK)。
(*) ランニングなどのように呼吸しながら行う運動。⇔ 筋力トレーニング。
研究の方法
40才以上の男女6万3千人超(平均年齢59才、男女比はほぼ半々)に運動習慣について尋ねたのち、死亡状況を追跡調査しました(調査期間は56万人年(*))。
(*) 人年=人数×年数
そして、運動習慣のタイプに応じてデータ全体を4つのグループに分類し、死亡リスクを比較しました:
  1. 運動習慣が無いグループ: 中強度以上の運動をする習慣が無いグループ。(グループ1
  2. 運動量が不足しているグループ: WHOが推奨する運動量を達成できていないグループ。 運動日数は平均2日/週、運動時間は平均60分/週。 高強度の運動が運動時間全体に占める割合は43%。(グループ2(*)
  3. 週に1日か2日だけ運動をするグループ: 運動をする日数は1週間のうち1日か2日だけだけれども、WHOが推奨する運動量を達成できているグループ。運動日数は平均1日/週、運動時間は平均304分/週。高強度の運動の割合は46%。(グループ3
  4. 運動習慣があり運動量も十分なグループ: 1週間のうち運動をする日が3日以上で、WHOが推奨する運動量を達成できているグループ。運動日数は平均7日/週、運動時間は平均449分/週。高強度の運動の割合は30%。(グループ4

(*) グループ2は、1週間あたりの運動頻度が2回までのグループ(1万1千人超)と3回以上のグループ(3千人超)のグループに分けられた。

下記の「結果」の数字(パーセンテージ)は、運動頻度が2回までのグループのもの。 つまり、2のグループは3のグループと運動頻度は同じで運動量だけが違う。
結果

追跡期間中に死亡したのは 8,802人で、そのうち 2,780人が心血管疾患(心臓病や脳卒中)、2,526人がガンで死亡しました。

総死亡リスク
グループ1(運動習慣が無いグループ)と比較したときの、グループ2~4の総死亡リスク(死因を問わない死亡リスク)は次のようなものでした:
  • グループ2: -34%
  • グループ3: -30%
  • グループ4: -35%
心血管疾患で死亡するリスク
グループ1に比べて、グループ2~4では次のように心血管疾患で死亡するリスクが下がっていました:
  • グループ2: -40%
  • グループ3: -40%
  • グループ4: -41%
ガンで死亡するリスク
グループ1に比べて、グループ2~4では次のようにガンで死亡するリスクが下がっていました:
  • グループ2: -17%
  • グループ3: -18%(ただし、95% CI: 0.63-1.06
  • グループ4: -21%