インスリンの経口服用薬が開発中

(2015年11月) カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究チームがインスリンの経口服用薬を開発中です。

現在のところインスリンを利用する糖尿病患者は1日に数回注射をする必要があり、それが大きな負担となっています。 インスリンの生産を補助する薬には錠剤のものも既に存在しますが、インスリン自体を送り届ける錠剤は存在しません。

インスリン経口投与の問題
注射により投与されたインスリンはまず末梢血流に入り込み、そこから肝臓へと送られます。 これに対して経口投与されたインスリンはもっと直接的で効率的なルートを通ります。 それにも関わらずインスリンの経口服用薬が作られていないのは、胃腸におけるタンパク質分解を乗り越える手段が存在しないためです。
インスリンはホルモンです。 ホルモンはタンパク質ホルモンとステロイド・ホルモンの2種類に大別されますが、インスリンはタンパク質ホルモンです。
問題の解決

新しく開発中の経口服用薬では、腸で溶けるタイプのカプセルと粘膜付着性ポリマーのパッチを組み合わせました。 インスリンは粘膜付着性ポリマーに充填されます。

カプセルの力により胃酸を乗り越えて小腸にまで届いた経口服用薬は、そこで開いてパッチを放出します。 放出されたパッチは腸壁に付着してインスリンをタンパク質分解酵素から守ります。 そして、インスリンが透過促進剤(これもパッチに含有されているのでしょう)の助けを得て(腸壁を透過して)血流中に入り込みます。
このカプセルとパッチの組み合わせは、現在注射により投与されている他のタンパク質(成長ホルモン・抗体・ワクチンなど)にも利用できると考えられます。
実用化までに
この経口服用薬が糖尿病用に実用化されるまでには、今後いくつもの試験と改良を行う必要があります。