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母乳の出が悪い原因はインスリン抵抗性かも

(2013年7月) "Cincinnati Children's" という NPO 医療法人の研究によると、母乳の生産量にはインスリンが関与しています。 授乳期間中には乳腺のインスリンに対する感受性が増加するというのです。

この研究グループの過去の研究により、肥満や、高齢、新生児が大きいなどの場合には母乳が出るようになるまでに時間がかかることが示されており、これによりインスリンの乳腺への関与も示唆されていました。

研究者は次のように述べています:
「(米国では)20~44歳までの女性の20%が糖尿病前症であることから、新生児の母親の最大で20%にインスリンの問題によって母乳不足となるリスクがあると考えられます」
今回の話のまとめ
今回の話は難しいので、先に役に立ちそうな要点をまとめておきます:
  1. 母乳の出が悪い原因が、2型糖尿病患者と同じようにインスリン抵抗性が増加しているためである場合がある(と思われる)。
  2. その場合には、(2型糖尿病患者と同じように?)食事内容を改善して運動をすることでインスリン抵抗性を下げると、母乳の出が良くなる(と考えられる)。
研究の概要

研究グループは、母乳サンプルから乳腺のRNA(特定のタンパク質を作るための設計図となる分子の鎖)を採取し、そこから乳腺に発現する遺伝子のライブラリを作成しました。 このアプローチより、最初に新生児の免疫力を強化させる作用を持つ初乳を少し出し、後に普通の母乳を大量に出すという乳の出方の変遷に関わる遺伝子群が組織的に切り替わる仕組みが明らかになりました。

これらの発見の1つとして、母乳不足の原因がインスリン抵抗性であることを PTPRF という遺伝子により判定できる可能性があることも明らかになりました。 PTPRF 遺伝子は、インスリンが細胞表面の受容体に結合することで主に引き起こされる細胞内の信号を抑制します。

今後の予定

今回の研究により乳腺にとってインスリン信号が重要であることが示されたので、研究グループは次に、2型糖尿病の患者に使用される血糖値をコントロールする薬で乳腺のインスリン活性を改善して母乳の出を良くすることが出来るかどうかを、臨床試験で調べることを計画しています。

研究者によると、母乳の生産量を増やすために薬を使うのは望ましくありませんが、インスリンと母乳の関係を確認するためには臨床試験が最適なのだそうです。 そうしてインスリンと母乳の関係を確認できたら、研究グループ次に、食事内容の改善と運動によってインスリンを改善し、それによって母乳の出を良くする治療法を研究する予定です。