腸に住む寄生虫が腸内細菌に働きかけてダイエット効果

(2019年4月) "Infection and Immunity " 誌に掲載された日本の国立感染症研究所の研究(マウス実験)で、ヘリグモソモイデス・ポリギルス(H. polygyrus)という腸に住み着く寄生虫により高脂肪食に起因する体重の増加が阻止されました。出典: Intestinal helminths boost fat burning: Japanese investigators show how

今回の研究では、H. polygyrus がカロリー消費量の増大を引き起こす化合物を生産する腸内細菌の増殖を促進することにより体重増加を阻止することが示されました。

これまでの研究でも H. polygyrus への感染に肥満を防ぐ効果のあることが報告されていますが、そうした研究で示された H. polygyrus による肥満防止のメカニズムは今回の研究で明らかにされたメカニズムと大部分において異なります。

研究の方法

高脂肪食で飼育されているマウスの一群のうち何匹かを H. polygyrus に感染させ、この寄生虫に感染したグループと感染していないグループとで体重の変化や腸内細菌の種類構成などを比較しました。

結果

H. polygyrus に感染していないグループはさらに体重が増えましたが、H. polygyrus に感染したグループでは体重増加がストップしました。

H. polygyrus に感染したマウスではノルアドレナリンという神経伝達物質を生産する桿菌(Bacillus)やエシェリキア属の細菌(Escherichia)の一種が増加していました。

こうした腸内細菌が生産したノルアドレナリンにより、脂肪細胞中に存在するミトコンドリアの内膜における脱共役タンパク質-1(UCP-1)の発現量が増加していました。 そして、UCP-1の増加により脂肪細胞内におけるエネルギー消費量が増えました。 要は、脂肪細胞における脂肪の燃焼量が増えたというわけです。

コメント

研究者によると、腸内に住み着く寄生虫はヒトの腸での生活に適応しているため、ひどく有害な症状を引き起こすことは滅多にありません。 そして恐らくヒトは寄生虫と共に進化してきました(むしろ寄生虫がいるのが自然な状態)。

ヒトの体内から寄生虫が根絶されたのは近年になってからのことで、それがアレルギー疾患や炎症疾患の一因となっている可能性もあります。
「寄生虫は共生生物であり人体に本来備わっているレギュレーター(調節器)であり、自己免疫や肥満を阻止してくれるのだと考えられます」