同じ食品を食べていても脳に蓄積する鉄分量は男女で異なる

(2015年1月) "Journal of the Neurobiology of Aging" に掲載されたバッファロー大学(米国)の研究によると、同じ食品を食べていても男性と女性では脳に含まれている鉄分の量が異なる可能性があります。

脳の鉄分の問題

多発性硬化症や、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経変性疾患の患者では脳に存在する鉄の量が多いことが知られています参考記事: 鉄もアルツハイマー病の原因に?。 健康な人の場合にも、加齢に伴って脳の鉄分濃度が高くなってゆきます。

同じ研究チームの過去の調査では、多発性硬化症の患者の脳には初期の患者であっても鉄分が蓄積していることが明らかになっています。 過剰な鉄分が活性酸素(reactive oxygen species)を生成することによって、肉体や認知機能に悪影響を及ぼすことが示されています。

研究の方法

今回の研究では、女性129人および男性61人(平均年齢43.2才)に、乳製品・野菜・赤身肉・鉄のサプリメント・カルシウムのサプリメントの摂取量を回答してもらい、特殊なMRI(磁気共鳴映像法)を用いて脳に含まれている鉄分の量を調べました。

結果

男性の場合は、乳製品または野菜の摂取量が多いと脳に存在する鉄分の量も多いという結果でした。 これに対して女性は、乳製品の摂取量は脳の鉄分量に影響しないと思われ、さらに野菜の摂取量が多い人では脳の鉄分量が少ないという結果でした。

赤身肉に関しても男女間で違っていて、女性では赤身肉の摂取量が多いと視床(脳の領域の1つ)に存在する鉄分の量が多い傾向が、そして男性では赤身肉の摂取量が多いと海馬(脳の領域の1つ)に存在する鉄分の量が少ない傾向が、それぞれ若干(*)見られました。
(*) 傾向が若干見られた - weak trend
たぶん、統計学的に有意とまでは言えない程度の関係があったということだと思います。
結論
野菜の摂取について研究チームは次のように述べています:
「脳の鉄分量という点からすると、野菜の摂取量を増やすのは女性にとってはプラスだが、男性にとっては逆にマイナスとなるように思われる」
赤身肉の摂取について研究者は次のように述べています:
「脳の鉄分量の面から言えば、赤身肉の摂取量が多いのは女性にとっては僅かな悪影響があるけれども、男性には悪影響は無いということになるかもしれません」
ただし、食品の摂取量というのは同じ1人の人においても大きく変動するので、今回の結果を鵜呑みにはできません。 さらに、今回の研究は予備的なものなので、研究チームも今回の結果に基づいて食生活に関するアドバイスをしてはいません。