鉄のサプリメントは連用で吸収効率が下がる

(2015年11月) 貧血患者には鉄のサプリメントが処方されて毎日あるいは1日に数回服用するように指示されますが、"Blood" 誌に掲載されたチューリッヒ工科大学の研究によると、鉄のサプリメントの吸収効率を維持するには1度服用してから次に服用するまでに24時間を空けてもまだ足りないかもしれません。

研究の方法

体内の鉄分が枯渇しているけれども貧血にはなっていないという若い女性50人に40mg/日以上の用量で鉄分を投与しました。 40mg/日というのは鉄分欠乏症の患者に処方される用量です。

そして、ヘプシジンの濃度と鉄分の吸収率を測定してヘプシジン濃度が鉄の吸収率に及ぼす影響を調べました。
ヘプシジン

ヘプシジンは肝臓で作られる酵素で、鉄分量のバランスを調節するという役目を持っています。

鉄が体に入るとすぐに肝臓でヘプシジンの生産が始まります。 そうして作られたヘプシジンは血流中に放出されて腸に到達し、そこで胃腸管の細胞を介して体に吸収される鉄分の量を調節します。

今回の研究によるとヘプシジンは、これまで考えられていた以上に腸における鉄サプリメントの吸収阻害に深く関与していると考えられます。
結果

ヘプシジンの濃度は鉄のサプリメントを飲んでのち6~8時間後に頂点に達しましたが、24時間が経過してもなお鉄分の吸収を明らかに妨げる程度の濃度であり、24時間以内または24時間後に2度目に飲んだサプリメントは部分的にしか吸収されませんでした。

留意点
今回の研究の弱点として研究者は次の2点を挙げています:
  • 被験者が貧血ではない健康な若い女性に限られていた。
  • 試験期間が2日間と短かった。 試験期間が数週間であれば結果が異なるかもしれない。
鉄について

人体中には平均5~7gの鉄分が存在し、そのうちの60%は赤血球の色素であるヘモグロビンに含まれています。

鉄分不足の主な原因は、月経などによる出血と食生活の偏りです。 鉄は赤身肉・レバー・豆類・全粒穀物に豊富に含まれており、これらを食べない人では鉄分が不足しがちです。 ビタミンCが不足しても鉄分が不足します。

その一方で鉄は、サプリメントなどで大量に摂り過ぎると毒性があります。 人体に鉄分吸収を調節する機能が備わっているのもこのためです。